抄録
目的:当健診センターでは2009年4月から2015年12月までに10,854人の受診者に延べ28,941回の健康診断を施行し,5例の先天性心疾患を新規発見した.本研究の目的はこの5例の特徴から,成人健康診断での先天性心疾患の有効なスクリーニング方法を検討することである.
方法:当健診センターで新規診断された先天性心疾患5例を対象とし,自覚症状,妊娠出産歴,胸部聴診所見,心電図検査,胸部X線検査,診断までの健診受診回数,予後に関して検討した.
結果:対象の先天性心疾患は心房中隔欠損症(ASD)3例(女性3例),動脈管開存症(PDA)2例(女性1例,男性1例)であった.異常所見は,ASD2例とPDA2例は心雑音のみ,ASD 1例は心電図異常と胸部聴診での2音異常であった.全例に自覚症状はなく,経産婦2例では妊娠出産時に異常はなかった.胸部X線検査で要精査と判定した例はなかった.初回の健康診断で先天性心疾患の診断に至った例はASD 1例,PDA 1例のみであり,他の3例は複数回の受診が必要であった.ASD 3例とPDA 1例はカテーテル治療の適応であった.
結論:成人健康診断において先天性心疾患はスクリーニングすべき重要な疾患であるが,特徴的な検査所見を欠く診断困難例が多く,その診断には胸部聴診が重要である.