2018 年 33 巻 1 号 p. 43-49
目的:大腸CT読影法の標準化における課題に5mm以下の微小ポリープをどう扱うかという問題がある.本研究は,読影標準化への一助とするため,微小ポリープの診断精度,読影に参考となる因子,読影方針について検討した.
方法:人間ドックの大腸CT検査で指摘された微小ポリープ50病変について,全大腸内視鏡検査をゴールドスタンダードとして陽性的中率を算出し,6mm以上のポリープと比較した.また,微小ポリープの診断に有用な因子を調査した.加えて,微小な所見をすべて詳細に読影した場合と,確信度の高そうな所見だけ詳細な読影を行う方針での読影時間を比較した.
結果:ポリープ別の陽性的中率は,10mm以上100%(7/7),6mm以上62.5%(15/24),5mm以下28.0%(14/50)であり,5mm以下で有意に低かった.微小ポリープ同定の因子は,高さが有意な因子であった(カットオフ値1.5mm).読影時間中央値は微小所見をすべて詳細読影した場合18分,確信度の高そうな所見だけに詳細な読影をした場合14分であり有意差を認めた.
結論:微小ポリープの陽性的中率は低かった.微小ポリープ診断にはポリープの高さが参考になることが示唆された.微小所見について確信度の高いものだけを拾うことで読影者の負担は減少すると考えられた.今後,本邦において,大腸CT検査における微小ポリープ読影の取扱についてコンセンサスが形成されることが望まれる.