2018 年 33 巻 1 号 p. 50-54
目的:国が推奨する外国人メディカルツーリズムの一つとして,外国人を対象とした人間ドック(以下,外国人ドック)が現在多くの施設で実施されている.今回,当院で実施した外国人ドックの現状を報告するとともに,全体を通して発生した問題とその対策,今後の課題を検討した.
方法:対象は2015年4月から2017年3月,当院で外国人ドックを受診した22名(男性14名,女性8名,国籍は全員中国)である.受け入れの事前に検討した4つの問題点①言語,②人間ドックメニュー,③契約,④事故対策の事後検証,ならびに⑤想定外の事象への対応を総括した.
結果:①文書に関する問題は発生しなかったが,通訳が同時に複数箇所で呼び出された際に対応ができなかった.②人間ドックメニューは好評であった.③契約に関する苦情やキャンセルはなかった.④検査での事故は発生しなかった.⑤想定外の事態として,持病や人間ドックで指摘された疾病の治療希望,似た名前による受診者取り違え未遂,家族らが控え室をホテル代わりに使用する,閉所恐怖症による直前のMRI拒否,結果説明で「経過観察」の概念が伝わらず説明に苦慮したであった.
結論:外国人ドックの課題は言語よりも文化や医療に対する概念の差であった.医療ツーリズムを発展して行くためには,日本独自の人間ドック文化を時代に合わせ進化させる必要があると考えられた.