人間ドック (Ningen Dock)
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原著
当センター受診者におけるメタボリックシンドロームの実態と非メタボ高危険群との比較検討
−より有効な特定保健指導の確立を目指して−
石川 和克庵原 立子角掛 篤子吉田 由貴金田一 万里子藤舘 道代狩野 敦
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2018 年 33 巻 1 号 p. 62-68

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抄録

目的:メタボリックシンドローム(MetS)の現況を明らかにし,腹囲正常で検査値異常を示す非メタボ高危険群(masked MetS)との臨床像の比較検討を行った.

方法:2016年度の当センター受診者中,腹囲を測定した21,668名(男性13,126名,女性8,542名)を対象とした.

結果:MetSは男性19%,女性3%に認められ,男女とも加齢とともに頻度が上昇した.masked MetSでは,男女とも収縮期および拡張期血圧の異常の頻度が高かった.臨床検査の平均値は,男性はMetSでは,LDL-C,中性脂肪,AST,ALT,γ-GTP,HbA1cが,masked MetSでは収縮期および拡張期血圧,HDL-Cが有意に高値であった.女性はMetSでは,γ-GTPが,masked MetSではHDL-Cが有意に高値であった.喫煙の頻度は男性でmasked MetSが高率の傾向を認めた(47.8% vs 41.8%).飲酒は,男性では,毎日がmasked MetSに有意に高率で(64% vs 50%)女性では飲酒しないがMetSに有意に高率であった(35.0% vs 0%).既往歴の種類および頻度には男女とも両群間に差は認めなかった.

結論:MetSは,従来の保健指導の継続,masked MetSは,体質,家系の影響を考慮し,飲酒,喫煙などの保健指導を加味する必要性が示唆された.

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© 2018 公益社団法人 日本人間ドック学会
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