2018 年 33 巻 4 号 p. 571-578
目的:胃X線検査所見を利用し,ヘリコバクター・ピロリ感染を高精度,かつ効率よく判定する方法を考案する.
方法:2013年から2014年の2年間で,オプション検査の血清ABC分類と胃X線検査を併用した受検者を対象に血清ABC分類と胃X線検査所見の関係を調べた.胃X線検査所見は従来法に加え,我々が考案した胃体部での胃小区像の有無や,バリウムの付着性による評価方法についても成績を調べた.
結果:従来法である粘膜ひだの分布範囲の縮小や粘膜ひだの屈曲増加等を用いる評価方法は感染者に多くみられる傾向は認められたものの,A群とBCD群を明確に分類することは困難であった.しかし,我々が考案した胃体部での胃小区像の有無やバリウムの付着性による評価は容易かつ精度が高く,感染判定に有効であった.
結論:今回考案した判定方法に,受検者の既往歴等を正確に把握できる問診を組み合わせることで,簡便ながら血清ABC分類の精度を補える,あるいは,代替可能な胃X線検査によるヘリコバクター・ピロリ感染判定システムが構築できると考えられた.