2021 年 35 巻 5 号 p. 724-730
目的:日常の人間ドック肺がんCT検診実施例で,視覚による定性的冠動脈石灰化の評価とリスク要因の意義について検証した.
方法:2019年4月より2020年3月,肺がんCT検診を施行した184名(平均年齢60±9歳,男性172例,女性12例)を対象とした.肺がん精密検査として実施した胸部CT例において,視覚による冠動脈石灰化の定性的評価を行った.胸部CTは16列マルチスライスCT(Supria®:日立製作所,東京),心電図非同期,スライス5mmで行った.主要冠動脈領域に2スライス以上の層状石灰化を認めるものを冠動脈石灰化陽性<moderate>と判定した.冠動脈石灰化の有無と生活習慣病関連健診項目やFramingham scoreについて検証した.
結果:1.184例中,2スライス以上の冠動脈石灰化<moderate>は30例(16.3%),平均年齢65.7±5.3歳(55~77歳),男性で高頻度(90%)であった.2.冠動脈石灰化<moderate>群の年齢をマッチさせた石灰化<none>群78例とで冠動脈石灰化に関する健診項目のロジスティック解析を実施した.年齢(≧70歳),BMI(≧25),糖尿病,LDLコレステロール(≧180mg/dL),12誘導心電図異常が有意な関連因子であった.Framingham scoreは,冠動脈石灰化<moderate>群で有意に高値であった(10.0±4.2 vs 6.9±2.9,p<0.01).
結論:肺がん検診時の心電図非同期胸部CTでの視覚的定性による冠動脈石灰化は生活習慣病と関連し,人間ドックにおける冠動脈疾患のリスク評価に有用な手法と考えられた.