2021 年 36 巻 4 号 p. 516-523
目的:胸部X線検査において,軟部組織および骨組織を強調した画像が得られるデュアルエナジーサブトラクション(Dual-Energy Subtraction: DES)を胸部X線画像に応用することにより,病変の描出能の向上と受診者に対する説明時の有用性を検討した.
方法:当センターの人間ドックで,DES導入前の3年間に胸部X線検査を行った22,000人とDES導入後3年間の26,276人を対象として,要精検率とがん発見率についてDES導入前後を比較検討した.また,読影業務に携った医師5名,および結果説明に携った医師5名に対してDESの有用性に関するアンケートを実施した.
結果:胸部X線検査で要精検率は,DES導入前は1.92%であったが,導入後は2.34%(p<0.05)と高くなり,がん発見率も導入前の0.03%に対し,導入後は0.08%(p<0.05)と上昇した.読影業務に携わる医師へのアンケート結果では,全員がDESは読影補助に役立っていると回答した.結果説明に携わる医師へのアンケート結果では,4名は結果説明にDESは有用であると回答した.
結論:DES導入によってがん発見率が上昇したのは,軟部組織画像で読影の障害となっていた肋骨などとの重なりが軽減され,病巣陰影がより鮮明に描出されたことによると考える.さらに骨組織画像では,冠動脈の石灰化像を描出でき,動脈硬化症の発生・進展予防に着眼した生活習慣改善指導においても有用であった.DESは胸部X線検査において精度向上,読影支援,受診者への結果説明の点で有用である.