2022 年 37 巻 1 号 p. 42-52
目的:テレワークや外出自粛などの新しい生活様式は,COVID-19パンデミック以降,定着している.コロナ禍における当施設の人間ドック受診者の健康実態を調査したので報告する.
方法:2018年度から2020年度まで3年連続で当施設人間ドックを受診した5,177名を対象とし,各種検査結果,生活習慣に関する問診項目を解析した.
結果:2019~2020年度間の体重の変化量中央値は+0.2kgとわずかであったが,2019~2020年度間に体重が1kg以上増加した受診者は32.8%,減少した受診者は25.4%と2018~2019年度間の29.5%/22.9%と比較して増加していた.体重が1kg以上増加した受診者は収縮期血圧(+2.0mmHg),LDLコレステロール(+6mg/dL)等の生活習慣病検査数値がそれぞれ前年度よりも増悪していた.年齢,性別,喫煙,その他生活習慣にかかわる8つの問診項目で多変量解析を行ったところ,年齢(オッズ比0.98),就寝前の食事(オッズ比1.18),1日1時間以上の歩行(オッズ比0.77),不規則な就寝時刻(オッズ比1.26)が体重1kg以上増加を予測する因子として抽出された.1日1時間以上の歩行は体重1kg以上減少を予測する因子でもあった(オッズ比1.31).
結論:1日1時間以上の歩行の維持はコロナ禍における人間ドック受診者の健康維持に寄与する可能性がある.