人間ドック (Ningen Dock)
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原著
人間ドックにおける血清25(OH)ビタミンDの測定意義の検討
半下石 美佐子畑 啓介山門 實吉形 玲美相澤 達木下 平古川 真依子落合 出藤巻 力也佐野 純子田口 淳一
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2022 年 37 巻 4 号 p. 684-692

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抄録

目的:人間ドックにおける血清25(OH)ビタミンD濃度の測定意義を検討する.

方法:当院の人間ドックで2021年4月からの1年間で血清25(OH)ビタミンD(25(OH)D)を測定した1,333名において,骨密度,年齢,BMI,栄養,腎機能,骨代謝,糖代謝との関連を検討した.

結果:ビタミンD欠乏(血清25(OH)D: 20ng/mL未満)・不足(20以上30ng/mL未満)は男女ともに多く,全体の82%に認めた.全年齢で25(OH)Dと骨密度の関連は認めなかった.50歳以上・未満・男女別の重回帰分析では,50歳未満の女性において25(OH)DとCrが骨密度の増加因子であった.一方,糖代謝異常例(HbA1c≧5.6%)では正常例と比べ25(OH)Dが有意に低かった.また糖代謝異常例は50歳以上で多く,50歳以上の男性ではHbA1cが骨密度の減少因子の一つであった.

結論:ビタミンD欠乏・不足の頻度は全体で8割以上と高い.人間ドックにおいては,50歳未満の女性で25(OH)Dを測定し,欠乏例に食事や日光浴の指導を行うことには意味がある可能性が示唆された.糖代謝異常,25(OH)Dおよび骨密度の関係については今後前向き研究が必要と考えられた.

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© 2022 公益社団法人 日本人間ドック学会
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