人間ドック (Ningen Dock)
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症例報告
LINXデバイスが留置されている健診受診者への上部消化管造影検査の経験
荒井 吉則前畠 枝里仲宗根 佑横田 春樹加藤 智弘猿田 雅之
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2022 年 37 巻 4 号 p. 693-698

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抄録

 胃食道逆流症は下部食道括約筋の機能不全により胃の内容物が食道へ逆流する疾患である.世界的に罹患者数が多く増加傾向であり逆流症状により生活の質の低下をきたす.プロトンポンプ阻害薬が有効であるが治療抵抗例も少なからず存在する.その場合,噴門形成術を施行するケースもあるが合併症のリスクもあり治療に難渋することもしばしば経験する.薬物療法と外科的治療のギャップを埋める治療法としてThe LINX Reflux Management Systemが2012年にアメリカ食品医薬品局で認可された.磁気を帯びたチタン製の複数のビーズをワイヤーで結びリング状にしたデバイスを腹腔鏡手術で食道胃接合部の周りに留置し,磁力により下部食道括約筋の機能を増強することで逆流を防止する仕組みである.本邦では保険適用外であるが海外では普及しており有効性,安全性が報告されている.LINXデバイスが留置されている健診受診者へ上部消化管造影検査を施行し,LINXデバイスの開閉機能に問題がないことを画像的に確認したので報告する.本邦の健診施設においてもLINXデバイス留置者へ上部消化管造影検査を行う機会は今後増加すると考えられる.当該受診者を躊躇なく受け入れることができるようThe LINX Reflux Management Systemについて知識を深めておく必要がある.

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© 2022 公益社団法人 日本人間ドック学会
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