人間ドック (Ningen Dock)
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臨床経験(活動報告)
健康診断の新たな表現法
―メタボリックチャート―
山田 香織末次 長作崎原 永辰玉城 達也糸数 美那海重田 泰秀島袋 香織大田 明子髙江洲 アヤ子破磯川 奈奈崎原 幸美
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2023 年 38 巻 3 号 p. 481-489

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抄録

目的:健康診断の事後措置において,一次予防に関する保健指導の補助ツールとすることを目的として,血圧および血液代謝に関する検査12項目の概略がひと目で表現されるレーダーチャートを考案した.

方法:代謝に関連する基本12項目をクロックフェイスに配置したレーダーチャートをメタボリックチャート(Metabolic Chart: MC)と名付け,2021年4月から2022年3月までに健康診断を受診した20歳から59歳までの7,622名(男性4,079名,女性3,543名)を対象として,肥満度別および同じ飲酒習慣をもつグループの平均をMCで表現した.

結果:肥満度が異なる3グループのMCにおいて,男性ではHDL-C,Hb以外の項目で肥満度の進行とともに段階的悪化をみた.女性では肥満2度以上でALT,LDL-C,HbA1cで段階的悪化をみた.3グループ間の分散分析では,男女ともいずれのグループ間でもすべての項目で有意(p<0.01)であった.飲酒量・頻度が違う2グループのMCにおいて,男性では多量飲酒でAST,ALT,γ-GTP,TG,BPの悪化をみた.女性ではすべての項目で差がみられなかった.2グループ間のt検定では,男性はAST,γ-GTP,HDL-C,TG,HbA1c,UA,BPで有意(p<0.01)となり,他の5項目で有意差はなかった.女性はAST,γ-GTP,HDL-C,LDL-C,TG,FBG,HbA1c,UA,BPで有意(p<0.01)となり,他の3項目で有意差がなかった.

結論:MCは事後措置を視覚化するものとして,保健指導の補助ツールとしての活用はもとより受診者の行動変容のきっかけになると期待される.

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© 2023 公益社団法人 日本人間ドック学会
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