抄録
目的:近年,生活習慣病に対する保健指導において,対象者の行動変容ステージに応じた指導が行われているが,本人の行動変容を望む意思がなければ行動変容を導くことはできない.本研究では行動変容の意思を評価するスケールとして,セルフモチベーションテスト(self-motivation test:SMT)が有用かを検討した.方法:転倒予防教室へ参加した高齢者42名を対象として,教室の最初と3カ月後にアンケート調査を行った.結果:今回のプログラムでは11名の行動ステージが改善した.行動ステージの不変または悪化の予測に関するSMTの感度は0.64,特異度は0.45であった.receiver operating characteristics(ROC)曲線からSMTは有用な判断ツールとはいえなかった.しかしながら,陽性結果の尤度比の検討から,SMTスコア21点をカットオフ値とした場合,感度0.33,特異度0.91と特異度の高い診断ツールとなった.結論:行動ステージに応じた効果的な指導計画を立てる上で,SMTを応用しうる可能性が示唆された.