本研究では,3 波長型蛍光ランプと青励起LED,紫励起LED の3 種の昼白色光源を用いて,日中の作業成績や精神生理状態に与える影響を評価した.その結果,青励起LED 条件が紫励起LED 条件に比べて光感受性細胞の推定刺激値が小さかったにもかかわらず,生理的覚醒度が高い傾向にあることが示されたが,課題成績に差異はなかった.一方で,状態不安が作業パフォーマンスに影響する可能性が青励起LED 条件で示されたが,他の照明条件ではそのような関係性はみられなかった.また,立体作図とクロスワードの両課題とも成績と印象評価との間に正の相関がみられたのは,紫励起LED 条件のみであった.これらの結果から,統合的な知的作業においては,覚醒や緊張をもたらす光の非視覚的作用を考慮する必要があると考えられ,作業中の精神生理状態を重視するのであれば,青励起LED に比べて,紫励起LED による光環境が,相対的により自然な精神生理状態をもたらす可能性が考えられる.