抄録
蕁麻疹,接触性皮膚炎,薬物アレルギーなどに対する皮内反応,貼布試験などの診断的価値および限界について検討し,下記の所見をえた。
1.蕁麻疹に対する食餌抗原の皮内反応はほとんど価値がない。しかし吸入抗原の皮内反応はしばしば特異的減感作療法への手がかりを与えることがある。
2.接触性皮膚炎に対する貼布試験は,物理的,生理的要因の関与なく,アレルギー機序によつてのみ発症した場合には有意義な方法である。しかし人工的に加工された物質による場合には,検体の選択上製造工程に関する十分な知識が必要である。
3.薬物アレルギーに対する皮膚反応は多くの場合価値に乏しい。しかし蕁麻疹様症状を呈した場合,ビタミンK1注射部位に発生した発疹,重症薬疹例,ペニシリン,クロラムフェニコールなどによる薬疹などでは,感作経路,臨床症状などを十分考慮に入れた皮膚反応はしばしば有意の結果をもたらす。