抄録
北陸3県の14施設において昭和45年から同49年に至る5年間に扱つた水疱性類天疱瘡患者29例についてまとめと予後調査成績をのべた。女子にやや多く, 発病年令は66.4才で60才以上が79.3%をしめた。29例中26例は皮疹で初発, 粘膜疹初発は1例であつた。皮疹の分布範囲が体表の30%以上を占めるものをA群, 皮疹散発をB群として検査成績や予後を比較した。血清抗体価は被検血清の約2/3において臨床症状と平行したが, 1/3では平行しなかつた。活動期の水疱の基底膜部位の免疫グロブリンの沈着は100%に認められた。予後調査成績によると, A群では治療の副作用による死亡が3例あつたが, 略治または小康状態が8例あり, 予後はかならずしも悪くなかつた。B群の予後は良好であつた。