西日本皮膚科
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39 巻, 1 号
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図説
綜説
症例
研究
  • ―29例のまとめと予後調査―
    川島 愛雄, 石倉 多美子, 佐藤 憲次, 広根 孝衞
    1977 年 39 巻 1 号 p. 37-45
    発行日: 1977/02/01
    公開日: 2012/03/23
    ジャーナル 認証あり
    北陸3県の14施設において昭和45年から同49年に至る5年間に扱つた水疱性類天疱瘡患者29例についてまとめと予後調査成績をのべた。女子にやや多く, 発病年令は66.4才で60才以上が79.3%をしめた。29例中26例は皮疹で初発, 粘膜疹初発は1例であつた。皮疹の分布範囲が体表の30%以上を占めるものをA群, 皮疹散発をB群として検査成績や予後を比較した。血清抗体価は被検血清の約2/3において臨床症状と平行したが, 1/3では平行しなかつた。活動期の水疱の基底膜部位の免疫グロブリンの沈着は100%に認められた。予後調査成績によると, A群では治療の副作用による死亡が3例あつたが, 略治または小康状態が8例あり, 予後はかならずしも悪くなかつた。B群の予後は良好であつた。
  • 第2報Betamethasone 17-Valerate軟膏の再評価
    藤原 邦彦
    1977 年 39 巻 1 号 p. 46-59
    発行日: 1977/02/01
    公開日: 2012/03/23
    ジャーナル 認証あり
    1) 尋常乾癬, 湿疹の患者10例に0.12% betamethasone 17-valerate軟膏(BM-V)を外用, 全身的影響を調べた。
    2) 10例(20検体)のうち, 臨床的には70%に著効を認めたが, 副腎皮質への抑制的影響も65%にみられた。
    3) BM-Vと0.1% triamcinolone acetonide軟膏(TA) を同一個体で比較, BM-VがTAより臨床効果, 副腎皮質の抑制とも顕著であつた。
    4) TA(18検体)とBM-V(20検体)を比較すると, BM-Vに即効性を認めたが, 7~10日後の比較では, 臨床効果にいちじるしい差は認められず, 副腎皮質への影響はBM-Vが顕著であつた。
    5) BM-Vを長期使用した症例でも外用を中止すると数日で前値に回復する例が多かつた。1例に回復までに10数日を要した。
    6) 糖尿病患者に外用すると空腹時血糖は上昇する傾向を示した。
    7) 臨床効果, 副腎の抑制的影響によつてコルチコイド軟膏を分類し, 疾患, 症状に応じて使いわける必要を認める。
  • 多田 ひろし, 吉田 彦太郎
    1977 年 39 巻 1 号 p. 60-65
    発行日: 1977/02/01
    公開日: 2012/03/23
    ジャーナル 認証あり
    大量のビタミンAを家兎に投与するとライソゾーム酵素の活性化により軟骨基質の消失, 菲薄化がみられ, 耳介が屈曲することが明らかにされている。今回われわれはこれらの現象を実験モデルとしてセファランチンの奏効機序の一端をうかがう実験を試み, 以下の所見をえた。
    1) 1日50万単位のビタミンAの腹腔内投与とともにセファランチンを1日10mg, 8日間静注することにより, ビタミンAのみを同一期間投与された家兎群にみられた耳介軟骨の屈曲現象, 非薄化現象などがいちじるしく抑制された。
    2) 1日50万単位のビタミンAの腹腔内注射とともに1日20mgのメチルプレドニゾロンを8日間筋注した家兎群では軟骨の変化はほとんど認められなかつた。
    以上の結果はセファランチンに副腎皮質ホルモンと同様ライソゾーム膜の安定化作用のあることを強く示唆する所見と考えられた。
  • ―出産時における検査成績を中心に―
    相模 成一郎
    1977 年 39 巻 1 号 p. 66-69
    発行日: 1977/02/01
    公開日: 2012/03/23
    ジャーナル 認証あり
    慢性PCB中毒症と診断した36才主婦が, 結婚13年目, 絶食療法終了後2年目に正常児を初産した。出産時に採取した母体血, 臍帯血, 大網(母体), 胎盤, 臍帯, 羊水, 新生児血を材料としてそれぞれのPCB含有量を測定した。また, 産後9ヵ月間の乳汁分泌量を計量し, 乳汁中のPCB含有量を測定した。これらの測定成績に基づいてつぎのことがいえる。
    1) 母体中のPCBは胎児を汚染する。臍帯血, 羊水, 胎児血のPCBによる汚染度は母体血中のPCB濃度に比しそれぞれ1/4, 1/6, 1/42である。また, 胎盤と臍帯とのPCBによる汚染度は母体の大網に比べると1/230, 1/1200となつている。
    2) 乳汁中に排泄されるPCB含有濃度は母体血中のそれよりも常に高い。したがつて, 大量の乳汁分泌は母体内におけるPCB排泄のための大きな経路であり, その授乳は乳児に危険である。
    3) PCB中毒症の実験成績から自験症例の妊娠と分娩とは絶食療法の成果であると推定した。
  • 早川 律子, 小林 美恵, 田中 隆義, 上田 宏, 岡田 吉郎
    1977 年 39 巻 1 号 p. 70-74
    発行日: 1977/02/01
    公開日: 2012/03/23
    ジャーナル 認証あり
    女子顔面黒皮症10例に, α-tocopherol nicotinate(V.E)600mg/日とV. C 600mg/日の経口投与, 2% α-tocopherol(V.E)含有クリーム外用療法を行い以下の結果を得た。血清中過酸化脂質量, 過酸化脂質量の総脂質量にたいする割合は有意の差をもつて減少した。2% V.E含有クリーム使用群は皮脂中過酸化脂質量が減少したが, placebo(基剤のみ) 使用群では認められなかつた。色差計による皮膚色の測定は, 明度の値が肉眼的感覚と一致し, 色素沈着部と非色素沈着部との明度差は, 2% V.E含有クリーム使用群では有意の差をもつて減少したが, placebo使用群では有意差が認められなかつた。皮脂中過酸化脂質量の変動は, 色差計による明度差の測定値とよく相関した。
  • ―電子顕微鏡的研究ならびにラジオオートグラフィーを用いた研究―
    手塚 正, 大熊 守也, 平井 玲子, 池村 郁夫, 大川原 脩介, 廣瀬 至, 木村 秀子, 比留間 政太郎
    1977 年 39 巻 1 号 p. 75-84
    発行日: 1977/02/01
    公開日: 2012/03/23
    ジャーナル 認証あり
    先天性魚鱗癬様紅皮症水疱型患者皮膚を電顕およびラジオオートグラフィーを用いて検討した。表皮細胞は基底細胞およびその上の2層の細胞より上で空胞変性がいちじるしい。この細胞は電顕的に, 核はほぼ正常で核小体を有し核膜も明瞭であるが, 細胞質は浮腫性で拡大し, リボゾーム様顆粒が多数みとめられるほかミトコンドリア, ゴルジ装置はほとんど存在せず, トノフィラメントの凝集塊が核をとりまいている。角質細胞はケラチンフィラメントの豊富な細胞と疎な細胞とあり, 後者には肥厚細胞膜の形成がみられない。14C-グリシンは基底層およびその直上の2層に多数とり込まれ空胞変性細胞にはまつたくとり込まれなかつた。3H-サイミヂンは基底層およびその直上2層の細胞にとり込まれていた。
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