西日本皮膚科
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研究
ポルフィリン症の皮膚病変
―ヘマトポルフィリン塩酸塩による実験的慢性皮膚病変―
本多 哲三
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1977 年 39 巻 4 号 p. 582-592

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抄録

Hematoporphyrin (HP) を注射し, 日光照射すると光毒反応を起こすことはよく知られている。今回著者はHP注射後日光照射することを反復くり返し, 慢性皮膚変化を起こすことを試みた。対照群ではほとんど変化を生じなかつたが, 実験群では臨床的に紅斑, 浮腫, 糜爛, 肥厚, 瘢痕化を生じ, 組織学的に過角化, 表皮の肥厚, 真皮乳頭層および乳頭下層の血管拡張, 充血, 細胞浸潤, 膠原線維の膨化, 変性, 結合織増生の所見をえた。この結果よりHP添加と日光照射にて真皮の炎症反応をくり返すと膠原線維の変性が起こり, このことからヒトポルフィリン症の皮膚病変においても, 膠原線維の変性が臨床的にポルフィリン症の慢性皮膚病変の根底にあつて, たとえばporphyria cutanea tardaなどの場合の皮膚脆弱性の発現に影響を与えるのではないかと推測した。膠原線維, 血管壁のPAS染色性の増強はみられたが, 明らかな血管周囲性のPAS陽性物質の発現は本実験においては認められなかつた。

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© 1977 日本皮膚科学会西部支部
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