西日本皮膚科
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治療
アトピー皮膚炎におけるN-5′の臨床的検討
N-5′皮膚科研究班
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1983 年 45 巻 4 号 p. 638-645

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抄録
新しい経口抗アレルギー剤N-5′〔N-(3,4-dimethoxycinnamoyl) anthranilic acid, リザベン〕のアトピー皮膚炎に対する臨床効果を検討した。本剤にはhomocytotropic antibodyによるヒスタミン遊離を特異的に抑制する薬理学的特徴がある。観察例は103例であつたが, 解析対象となつたのは99例である。そのうち92例には4週間以上の内服を行つた。また併用薬剤は原則として1%ハイドロコーチゾン軟膏のみとした。その結果, きわめて有用2, 有用30, やや有用34例であり, 66.7%に有用性が認められた。また全般改善度では2週間後かなり軽快以上が12.1%, 4週間後では38.0%であり, やや軽快以上では2週間後62.6%, 4週間後69.6%であつた。すなわち4週間以上の内服により効果が明らかとなる傾向が示唆された。各症状別の改善度には一定した傾向が認められなかつた。また患者の各背景因子についても有用度を検討したが, 有意の差は認められなかつた。全症例を通じ, 内服を中止せざるをえないような副作用は認められなかつた。今後, 本剤の内服はアトピー皮膚炎に対して有力な治療手段になると考えられた。
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© 1983 日本皮膚科学会西部支部
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