西日本皮膚科
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45 巻, 4 号
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図説
症例
  • 河内山 明, 下田 淳子, 長田 浩行, 中川 昌次郎, 植木 宏明
    1983 年 45 巻 4 号 p. 549-554
    発行日: 1983/08/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    48才, 男子。昭和41年より四肢の多関節痛があり種々加療していた。昭和55年3月より四肢に痛がゆさを伴い4∼5日間持続する浮腫性紅斑の出没をくり返した。検査では, 血沈亢進, リウマトイド因子強陽性, 抗核抗体陽性, 持続性低補体血症を認め, 関節X線像は, 慢性関節リウマチに特徴的な所見を呈した。皮疹の組織像は, いわゆるleukocytoclastic vasculitisの像を呈し, 螢光抗体直接法で, 表皮真皮境界部, 真皮乳頭層血管壁に IgM, C3, fibrinogenの沈着を認めた。プレドニゾロン, インドメタシン内服により臨床症状および血沈, 抗核抗体, リウマトイド因子の改善がみられたがCH50は持続して10以下であつた。自験例は, 慢性関節リウマチにurticarial vasculitisを伴つたものと考えた。さらにurticarial vasculitisと考えられる現在までの報告例をまとめ, 臨床所見, 検査所見の比較を行つた。
  • 武田 孝爾, 籏持 淳, 植木 宏明
    1983 年 45 巻 4 号 p. 555-558
    発行日: 1983/08/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    重篤な血小板減少症をきたした33才女子のmixed connective tissue diseaseの1例を経験した。症例はレイノー症状, 関節痛, 手指の腫脹, 蝶形紅斑, 点状出血を認めた。検査所見でRNP抗体の単独陽性と表皮核のspeckled型抗核抗体を認め, 著明な血小板減少症を示した。
  • 北出 勘治, 野村 茂, 清水 正之
    1983 年 45 巻 4 号 p. 559-563
    発行日: 1983/08/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    80才女子の塩酸シプロヘプタジンによる光線過敏性皮膚炎と思われる症例を報告した。同薬剤内服開始約1ヵ月後より, 日光露出部を中心に, 瀰慢性浮腫性落屑性浸潤性紅斑を来し, 病理組織では扁平苔癬類似の像を示した。塩酸シプロヘプタジンの遮光貼布試験は陰性で, 貼布照射試験にて陽性を示した。作用波長は320nm以下で, 同薬剤の吸収波長の範囲内であつた。初診約1年後より, 同薬剤の遮光貼布試験も陽性を示すようになつた。
  • 田邊 稔, 小森 万智夫, 加賀美 潔
    1983 年 45 巻 4 号 p. 564-570
    発行日: 1983/08/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    多彩な臨床経過をとつた59才女子のSweet症候群の1例を報告し, 本邦報告例について若干の統計的な検討を行つた。その結果, Sweet症候群, Sweet病, あるいはacute febrile neutrophilic dermatosisとしての報告は149例であり, それらの臨床症状, 検査結果, または治療については大差はなかつた。文献的な考察も行つた結果, Sweet症候群はBehçet病の範疇に属する疾患であり, そのひとつの急性症状, ないしは急性期の病型と考えたい。また現時点では, Sweet症候群との呼称が適当ではないかとするゆえんについても述べた。
  • 西尾 一方, 末永 義則, 嘉多山 直人, 山元 修
    1983 年 45 巻 4 号 p. 571-578
    発行日: 1983/08/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    産業医科大学附属病院開院以来3年間に, 皮膚科で経験したTEN型薬疹の3例について報告した。症例1は60才の男子, 発熱その他の全身症状とともに汎発性の多形紅斑様皮疹が発生し, 急速に水疱化して本症の典型像を示した。原因薬剤は確認できなかつた。症例2は63才の女子, 4ヵ月前から紅斑が発生, 次第に拡大しつつあつた。1週間前より顆粒球減少を伴い水疱, 糜爛を形成し, 心停止, 肺炎など重篤な合併症をきたし, 遂には死亡に至つた。脳循環代謝促進剤とメソトレキセートによる可能性が強い。 症例3は34才の女子, サルファ剤静注後高熱とともに四肢に大水疱を多発した。症例1, 2と同様粘膜疹を認めたが, 1ヵ月の治療で略治した。ついで最近17年間の本邦報告80例について統計的に調査し, とくに原因薬剤および死亡例をまとめた。さらに薬疹の臨床病型の診断には病理組織所見が重要であることを強調した。
  • 乃木田 俊辰, 大山 勝郎, 成沢 寛, 北野 邦俊, 浦島 浩介, 大津 英明, 坂本 不出夫, 松尾 修一, 吉村 龍太
    1983 年 45 巻 4 号 p. 579-582
    発行日: 1983/08/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    1975年から1981年までの7年間の, 水俣市立病院におけるマムシ咬傷35例について, 臨床統計的ならびに治療方法について若干の考察を行つた。1) 性別 男性:女性=13:22, 2) 年令 12才∼76才, 3) 好発時期 7∼8月, 4) 受傷部位 手26例, 足9例, 5) 受傷場所 田畑で多発する, 6) マムシ咬傷の治療は, 早期創傷処置と抗毒素血清使用が基本である。最近では抗毒素血清を使用しないセファランチン療法も散見される。
研究
  • 大神 太郎, 野中 薫雄, 吉田 和徳, 本多 哲三, 村山 史男, 阿南 貞雄, 吉田 彦太郎
    1983 年 45 巻 4 号 p. 583-589
    発行日: 1983/08/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    高速液体クロマトグラフィー(high pressure liquid chromatography, HPLC)を利用して, 晩発性皮膚ポルフィリン症(porphyria cutanea tarda, PCT)患者13例, 対照として肝疾患患者32例の尿中ポルフィリン体パターン分析をおこなつた。このカラムにZorbax SIL, 移動相にethyl acetate, n-hexane (55:45, V/V), ポルフィリン体標準サンプルとして, protoporphyrin IX dimethylester, coproporphyrin III tetramethylester, およびuroporphyrin esterを用いて, 各ポルフィリン体の保持時間(retention time)を決定した。PCT 13例のHPLCによる分析結果の平均値は, coproporphyrin (CP) 9.7%, penta-carboxyl porphyrin (Penta-P) 6.8%, hexa-carboxyl porphyrin (Hexa-P) 4.9%, hepta-carboxyl porphyrin (Hepta-P) 18.8%, uroporphyrin (UP) 59.8%を示し, UPがCPより優勢に排泄されていた。肝疾患患者32例では, 9例に分析可能で, その平均値はCP 80.1%, Penta-P 3.0%, Hexa-P 5.7%, Hepta-P 5.3%, UP 5.8%とCPが大部分を占めていた。PCT 13例のうち5例に瀉血療法を実施し, その経過中のポルフィリン体パターン分析をおこなつた。その中の4例で, 瀉血療法に伴う著明な尿中ポルフィリン体値の減少がみられ, それとともにパターン分析でもUP優勢からCP優勢への移行がみられた。しかし1例では, 瀉血後も尿中ポルフィリン体値, パターン分析像ともに著しい改善を認めなかつた。HPLCによる尿中ポルフィリン体パターン分析は, その操作性, 簡便性, 再現性などの点で優れており, 今後PCTの診断および経過観察に十分利用され得るものと考えられる。
  • 木村 康隆, 向井 秀樹, 長坂 宏一
    1983 年 45 巻 4 号 p. 590-594
    発行日: 1983/08/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    87才男子および47才男子の2例の顔面の基底細胞上皮腫に対して, パパニコロー染色による細胞診を施行した。両症例ともに細胞診陽性で, しかもその細胞診所見は基底細胞上皮腫に特徴的であり, HE標本とも一致する所見であつた。すなわち, ライトグリーンに一様に染色される小型の腫瘍細胞が密に配列し, クロマチンパターンは粗大顆粒状で, 細胞像は比較的均一であつた。また, 両症例に対して, 擦過, 穿刺吸引, 捺印細胞診の3つの方法を施行した。その中でも, 穿刺吸引細胞診は, 手技が簡便であること, 陽性率が高いこと, 皮下腫瘍を含めて適用範囲が広いことなどから, 他の2方法に比べてきわめて有用であると考えた。
  • 吉塚 直伸, 菅沼 剛, 芋川 玄爾, 今村 哲也, 岡本 暉公彦, 三角 寿
    1983 年 45 巻 4 号 p. 595-601
    発行日: 1983/08/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    皮表脂質および皮膚表面水和状態を簡便に測定し得, 持ち運びできる機器を開発しその有用性を検討した。皮表脂質測定は艶消しガラスに脂質を付着させることにより透明度が増加する原理を応用した。片面艶消しの皮脂採取プレートを一定圧で皮膚に圧着させることにより採取した脂質を採取の前後で増加する透明度により測定する。皮脂採取プレート上に実験的に塗布された脂質量はその透過度の増加量に有意な相関性を示し(r=0.96), 本測定器によりプレート上の脂質量が正確に出力されることが認められた。さらに本測定法により健康人前額部皮膚の皮表脂質量を測定し, 従来から用いられている重量法と比較したところ有意な相関性を認めた(r=0.72)。一方, 皮表水和状態の測定は交流電導性が水分量に反映する原理を応用した。まず皮膚表面電導性におよぼす交流周波数の影響を検討したところ, 10∼50kHzの領域に高い電導性を認め, この領域の周波数の交流を用いた皮膚表面電導性測定器を開発した。本測定器はTagamiら8)の報告した機器と有意な相関性を示し(r=0.98), さらに角質水和状態をよく反映した。
  • —ハトムギ外皮より作成した注射液および外用剤による臨床的治療成績—
    平野 京子, 新村 紀子, 安田 和正, 朝倉 みどり, 木下 茂美
    1983 年 45 巻 4 号 p. 602-608
    発行日: 1983/08/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    ハトムギはわが国では古くより疣贅に対し単独漢方薬として広く民間に用いられてきたが, その成分や薬理学的, 免疫学的作用機作に関しての記載は乏しい。今回われわれの教室ではin vitroの実験にてハトムギの各種細胞に対する傷害活性が, いわゆるヨクイニン(種子)よりもその外皮(種皮と果皮, とくに種皮)の方がより強いことを実証した(第1報, 第2報)。そこで臨床的治験として, 外皮を集めこれを熱水抽出して遠心沈澱しその上清を処理して注射用液とし, 沈渣を外用剤として尋常疣贅と扁平疣贅に対する治療を試みた。注射は週1回0.1∼0.3ml皮内に, 外用は1日数回塗布した。その治療成績の結果は, 尋常疣贅では, 注射法より外用剤の塗布の方がよい成績を得, さらに注射と異常に過角化した角質をメスで削除して外用剤を塗布した例の方がより良い結果が得られた。扁平疣贅は, 外用剤塗布のみにて治療を行つたところ, 治癒または有効で無効例はなく, 良い成績であつた。すなわち, ウイルス性疣贅の治療には, ハトムギ果実の外皮による外用剤使用によりかなりの効果が期待出来るものと思われた。その作成法, 治験対象, 結果について述べ, 考察を加えた。
講座
統計
  • 浜中 和子
    1983 年 45 巻 4 号 p. 615-620
    発行日: 1983/08/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    昭和56年1月から12月までに経験した風疹患者220例を対象として, 年令別, 性別分布, 月別発症頻度, 自覚症状, 理学的所見, 臨床検査成績について統計的に観察した。その結果, (1)16才から20才の男性層に集団発生がみられ, 季節的には5月と6月に発生のピークを認めた。(2)自覚症状のうち全身倦怠, 咽頭痛, 頭痛, 発熱が高率に認められ, 成人では小児に比べ自覚症状が著明であることが確認された。とくにそう痒は71.1%の患者に認められ従来の報告よりかなり高率であつた。(3)顔面の特有の皮疹は98.5%の患者に認められ, 風疹においては必須の所見とみなされた。(4)大半の症例において発疹時に白血球減少, リンパ球減少, 血小板減少が確認された。異型リンパ球は約3分の1の患者に認められた。
治療
  • —多施設二重盲検法による検討—
    N-5′皮膚科研究班
    1983 年 45 巻 4 号 p. 621-637
    発行日: 1983/08/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    I型アレルギー反応を特異的に抑制する新しい抗アレルギー剤N-5′〔N-(3,4-dimethoxycinnamoyl) anthranilic acid〕のアトピー皮膚炎に対する臨床効果を多施設二重盲検法により検討した。その結果, 全般改善度は2週後でplacebo群(P群)46.8%, N-5′群(N群)55.4%, フマル酸クレマスチン群(C群)60.0%であり, いずれの群間にも有意差はなかつたが, 4週後ではP群53.4%, N群75.3%, C群63.8%であり, N群はP群より有意に優れていた。概括安全度ではP群とN群はともにC群より有意に優れていた。有用度はP群48.8%, N群68.7%, C群61.0%であり, N群はP群より有意に優れていた。皮膚症状に対する効果は, そう痒においてC群が2週後および4週後ともP群より有意に優れていた。N群では4週後にそう痒, 紅斑, 丘疹, 表皮剥離·掻破痕および落屑においてP群より有意に優れていた。副作用はP群に眠気, 悪心が各1例, N群に胃のもたれ, 便秘が各1例, C群に眠気10例, 便秘1例がみられ, いずれも重篤なものではなかつたが, C群は副作用発現頻度および眠気の発現頻度はともに他の2群より有意に高かつた。臨床検査成績で異常値の出現はいずれの群にもみられなかつた。これらの成績から, N-5′はアトピー皮膚炎の治療剤として, フマル酸クレマスチンと比較してより有用な薬剤であると結論された。
  • N-5′皮膚科研究班
    1983 年 45 巻 4 号 p. 638-645
    発行日: 1983/08/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    新しい経口抗アレルギー剤N-5′〔N-(3,4-dimethoxycinnamoyl) anthranilic acid, リザベン〕のアトピー皮膚炎に対する臨床効果を検討した。本剤にはhomocytotropic antibodyによるヒスタミン遊離を特異的に抑制する薬理学的特徴がある。観察例は103例であつたが, 解析対象となつたのは99例である。そのうち92例には4週間以上の内服を行つた。また併用薬剤は原則として1%ハイドロコーチゾン軟膏のみとした。その結果, きわめて有用2, 有用30, やや有用34例であり, 66.7%に有用性が認められた。また全般改善度では2週間後かなり軽快以上が12.1%, 4週間後では38.0%であり, やや軽快以上では2週間後62.6%, 4週間後69.6%であつた。すなわち4週間以上の内服により効果が明らかとなる傾向が示唆された。各症状別の改善度には一定した傾向が認められなかつた。また患者の各背景因子についても有用度を検討したが, 有意の差は認められなかつた。全症例を通じ, 内服を中止せざるをえないような副作用は認められなかつた。今後, 本剤の内服はアトピー皮膚炎に対して有力な治療手段になると考えられた。
  • グリチロン臨床研究班
    1983 年 45 巻 4 号 p. 646-652
    発行日: 1983/08/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    中毒疹·薬疹に対するグリチルリチン(グリチロン注1号)注射単独療法の効果を, 16施設の参加による二重盲検試験で検討した。解析対象は145例で, うち中毒疹43例(本剤22例, placebo 21例), 薬疹102例(本剤51例, placebo 51例)であつた。併用療法をおこなわずに, 1日1回1アンプル2ml皮下注(または筋注)を5日間連続しておこない, 効果を判定した。薬疹群では有意差をもつて本剤がplaceboより高い治療効果を示し, 投与後2日目ですでに有意の治療効果がみとめられた。一方, 中毒疹群では本剤がわずかにplaceboより治療効果が高かつたが, 有意差はみとめられなかつた。薬疹·中毒疹を総合すると, 本剤にはplaceboより高い治療効果をみとめ, その有意差はU-検定でp<0.001であつた。副作用としては1例に皮下硬結の疑問例をみたのみで, 事実上副作用はなかつた。以上を総合して, グリチロン注1号の注射療法は, 中等·軽症の中毒疹·薬疹とりわけ薬疹に対する安全で温和な治療法として有用であると考えられた。
  • 内平 孝雄
    1983 年 45 巻 4 号 p. 653-658
    発行日: 1983/08/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    ビスダーム軟膏およびクリームを, 慢性に経過する各種皮膚疾患の20例に試用した。対象疾患は, アトピー皮膚炎5例, 尋常乾癬4例, 慢性円板状紅斑性狼瘡および小児湿疹の各2例, 乳児湿疹, 老人性紅皮症, 慢性単純性痒疹, 老人性皮膚そう痒症·掻破性湿疹, 慢性接触皮膚炎, 掌蹠膿疱症および慢性単純性苔癬の各1例であつた。その結果, 著効14例, 有効3例(有効率85%)およびやや有効3例の成績が得られた。特記すべき副作用は全例に認められなかつた。
  • 村上 通敏, 亀山 孝一郎
    1983 年 45 巻 4 号 p. 659-662
    発行日: 1983/08/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    アムシノニド0.1%を含有するビスダーム軟膏およびクリームをアトピー皮膚炎9例, 接触皮膚炎5例, 皮脂減少性湿疹2例, 慢性多形痒疹1例, ヴィダール苔癬1例, 日光皮膚炎1例, 尋常乾癬1例の計20例に使用した。臨床効果は著効13例(65%), 有効5例(25%), やや有効2例(10%)であつた。副作用は全例に認めず, 臨床検査を実施した5例においても異常な変動を認めなかつた。
  • —ビタミンB12と生理食塩水とによる除痛効果の検討—
    佐藤 壮彦, 松田 和子
    1983 年 45 巻 4 号 p. 663-666
    発行日: 1983/08/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    帯状疱疹患者38例に除痛を目的として, ビタミンB12(27例)および生理食塩水(11例)によるツボ注射を施行し, 両者の効果を比較検討した。最終的な除痛の効果, 治療期間では, 両者に大きな差は認められなかつた。しかし, ビタミンB12では注射直後の痛みの消失は迅速であるが, 再燃も早い。一方, 生理食塩水では, 効果の発現は遅いが, 持続時間はビタミンB12より長い。今後は, 除痛効果が早く, かつ, 持続時間の長い治療方法を検討しなければならない。
  • ミロリヂンK帯状疱疹研究班
    1983 年 45 巻 4 号 p. 667-675
    発行日: 1983/08/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    帯状疱疹に対するK-582(ミロリヂンK)の臨床的有用性を賦形剤のみを含有するplaceboを対照として, 15施設の皮膚科における多施設二重盲検試験により検討した。総計250例(ミロリヂンK群126例, placebo群124例)が集計され, 群間比較した結果は, 急性期症状および回復期症状の動きに有意の差は認められなかつたが, 疼痛の軽減および消失日数においてミロリヂンK群がややすぐれている傾向がみられた。全般改善度と主治医の有用性に関する印象においても両群間に有意の差は認められなかつた。また帯状疱疹後の神経痛発生状況に関しても両群間に差は認められなかつた。副作用については, ミロリヂンK群11.1% placebo群4.1%に発現し, 有意の差が認められたが, 主として軽い胃腸障害であり, 重篤なものは認められなかつた。
  • ミロリヂンK青年性扁平疣贅研究班
    1983 年 45 巻 4 号 p. 676-680
    発行日: 1983/08/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    11施設の皮膚科で, 共同研究班を組織し179例の顔面を主とする青年性扁平疣贅患者について, ミロリヂンKおよび賦形剤のみを含有したplaceboの二重盲検法による臨床効果の判定を行つた。試験の結果151例が有効性の解析対象となつたが, 有効例は, ミロリヂンK投与群で24例(33.3%), placebo投与群で23例(29.1%)であり, 統計的に有意の差は認められなかつた。これまでに報告されているミロリヂンKのopen studyにおける青年性扁平疣贅の治癒率は, 50∼55%であるが, 本試験の結果, その効果は, 本剤そのものの効果によるものとは考えられない。副作用としては, 悪心, 嘔吐, 胃部不快感, 食欲不振などが認められたが, 食直後に内服することにより症状は軽減され, 投与を継続することが出来る。臨床検査成績では, 投与終了後の検査で, 本剤に起因すると考えられる異常値は認められなかつた。
  • 大島 恒雄, 大島 圭子, 利谷 昭治
    1983 年 45 巻 4 号 p. 681-685
    発行日: 1983/08/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    耐性菌の発生は抗生物質の宿命であるが, 乳幼児の膿痂疹に関する限り, 突然に抗生物質の効果が変動することがある。前年まで著効を示したCEX (cefalexin)が有効以下の評価となり, 新しくCFT (cefatrizine)が著効を示したことについて, CEX群795例, CFT群1,639例の多数例を臨床観察と統計学的手法を用いて分析検討した。
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