1984 年 46 巻 Suppl 号 p. 180-183
汗器官腫瘍20例とともにPaget病を含む関連ないし対照疾患12例, 計32例および正常皮膚組織2例を対照としてcarcinoembryonic antigen(CEA)の分布をperoxidase antiperoxidase(PAP)法によつて検索した。エクリン汗器官腫瘍では, 主に管腔壁に, またアポクリン汗器官腫瘍では, 管腔とは無関係と思われる細胞にCEAが陽性であつた。Paget病では, Paget細胞の分布に一致してCEA陽性であつた。以上よりCEAの検索は, 汗器官腫瘍のエクリン系あるいはアポクリン系の決定をはじめPaget細胞の同定を行うに際しての一手段として有用であると思われた。