抄録
慢性湿疹·皮膚炎群に対して, ヒスタグロビン(HG)1回3 vial注射と抗アレルギー剤トラニラストまたはケトチフェン内服併用療法を行い, 抗アレルギー剤の単独投与例群と治療効果を比較した。その結果, 1)有効率(有効以上)はHG·抗アレルギー剤併用群(A群)91.4%, 抗アレルギー剤単独群(B群)57.9%で, 統計学的に有意差を認めた。2)「改善」以上の最終判定が得られた症例群において, 「改善」以上が100%になつた時期を比較すると, A群は6週間目, B群は9週間目(判定日)であり, A群により早期の効果発現を認めた。3)ステロイド外用剤と抗ヒスタミン剤の使用量を試験開始時と試験終了時の1週間量で比較し, それぞれの減量効果をみたところ, A群の抗ヒスタミン剤, ステロイド外用剤で有意差が, B群のステロイド外用剤で傾向差が認められた。またA, B 2群間では, ステロイド外用剤の減少率に傾向差が認められた。4)抗アレルギー剤の種類別有効率については, HGとケトチフェンまたはトラニラスト併用群とケトチフェンまたはトラニラスト単独投与群の間にいずれも有意差が認められた。