西日本皮膚科
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治療
成人型難治性アトピー性皮膚炎に対するヒスタグロビンとケトチフェン併用療法の検討
中川 秀己乃木田 俊辰江藤 隆史五十棲 健大河内 仁志小方 冬樹玉木 毅安藤 厳夫石橋 康正
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1989 年 51 巻 5 号 p. 988-994

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抄録

成人型難治性アトピー性皮膚炎に対するヒスタグロビン(HG)と抗アレルギー剤ケトチフェンとの併用効果を検討するために, HGとケトチフェン併用群(A群)とケトチフェン単独群(B群)との比較試験を行い, 以下の成績を得た。1)全般改善度では, 中等度改善以上はA群85.0%, B群65.0%, 軽度改善以上はA群95.0%, B群90.0%でA群が有意に優れていた。2)有用度では, 有用以上はA群80.0%, B群40.0%, やや有用以上はA群95.0%, B群90.0%で両群間にきわめて有意な差を認めた。3)症状別重症度では最終観察日に紅斑, 丘疹, 落屑, および苔癬化でA群が有意に優れ, 全般重症度でも有意差が認められた。4)症状別改善度では, 丘疹, 落屑, および苔癬化でA群が有意に優れていた。5)ステロイド剤の使用量では, A群, B群とも有意な減量効果が認められたが, 両群間に有意差は認められなかつた。6)副作用では, A群2例, B群6例に眠気が認められたが, ケトチフェンによるものと思われた。その他重篤な副作用は認められなかつた。以上より, HGとケトチフェン併用療法は成人型難治性アトピー性皮膚炎に対して有用性の高い治療法と考えられた。

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© 1989 日本皮膚科学会西部支部
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