1991 年 53 巻 2 号 p. 313-319
1972年1月1日から1989年3月31日までの17年3ヵ月間に秋田大学付属病院皮膚科を受診した乾癬例につき統計的観察を試み, あわせてアンケート調査で予後およびそれに影響を与える因子を検討した。
1) この期間の乾癬患者は389例で年別乾癬新患数および総新患数に対する比率は年々増加していた。
2) 男女比は3:2, 発症のピークは全体では30歳代であるが男性は30歳代, 女性は0歳代(0∼9歳)であった。
3) 尋常性乾癬が91%で, 重症ないし異型乾癬を少数認めた。
4) 家系内発症を8%に認めた。
5) 初発部位は頭部が40%を占めた。
6) 入院例につき肥満度を検討したが健常人に比し有意差はなかった。
7) 肉類をよく摂取する例が約半数を占めた。
8) 入院療法の主体はGoeckermann療法で, 外来ではステロイド外用がその主体で光線療法を継続できる例は少数であった。
9) 長期寛解例(1年以上73例, うち5年以上12例)があった。
10) 長期寛解例について有効な治療法·諸因子としてステロイド外用, 光線療法のほか野菜食や禁酒が挙げられていた。
11) 増悪因子, 再発の誘因として上気道炎·扁桃炎のほか食事の偏り, 不摂生, ストレスなどが挙げられていた。