抄録
メキタジンを服用中に生じた光線過敏型薬疹の1例を報告するとともに, 本邦報告9例をまとめた。自験例は46歳の女性で, 感冒に際しメキタジン9mg/日を内服し3日目から, 顔面, 前頸部, 上胸部および手背にそう痒を伴う皮疹が出現した。メキタジン5%の貼布試験において紅斑, 光貼布試験においてその部の紅斑と浮腫を認めたが, 1%, 0.1%では陰性であった。薬剤リンパ球刺激試験は陰性であった。接触皮膚炎あるいは他剤による薬疹患者21例を対象として施行したメキタジン5%の貼布試験では, 62%(13/21)が陽性反応を示し, 単独で接触過敏症抗原であることが推測された。また, 吸光波長と作用波長の相違から, 主要代謝物であるメキタジンスルフォキサイドの光線接触過敏症への関与が疑われた。さらに本邦報告例の検討から, 発症機序として他のフェノチアジン誘導体と同様, 光毒性および光アレルギー性の両者の関与が推測された。