1992 年 54 巻 3 号 p. 468-472
Growth hormone neurosecretary dysfunction(GHND)に基づく小人症にみられたacanthosis nigricans(A.n.)の1例を経験した。症例は12歳男児で, 生下時より部分的に黒褐色·粗造な皮膚を有し, 4歳頃より成長障害が明らかとなった。患児はGHNDに基づく成長障害と診断された。GHNDとは, 常に睡眠時の生理状態に似た成長ホルモン分泌の低下があり, 分泌刺激に対してはある程度反応しうる病態を表現した新しい概念である。自験例は内分泌障害を伴ったgenodermatosisとしてのA.n.と診断した。