西日本皮膚科
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統計
Microsporum canisによる乳幼児のケルスス禿瘡の2例および当科頭部白癬例の検討
佐藤 典子真家 興隆高橋 伸也
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1993 年 55 巻 1 号 p. 92-97

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抄録
生後2ヵ月男児および3歳女児のMicrosporum canisによるケルスス禿瘡の2例を報告し, あわせて1972年1月1日∼1991年3月31日の当科頭部白癬例の統計的観察を行った。その結果, 1)この期間の症例数は29例で, 頭部浅在性白癬9例, ケルスス禿瘡20例であった。2)初診時年齢は10歳未満が18例(62%)で, 5歳未満の幼小児13例が含まれる。男女比は10:19であった。50歳以上の高齢患者6例はすべて女性であった。3)原因菌種は, M. canis 10例, T. violaceum 7例, T. rubrum 4例, T. mentagrophytes 4例, T. verrucosum 3例, ならびにT. tonsuransが1例であった。M. canisによるものは全例10歳未満であった。4)初診までにステロイド剤外用を受けていたものが19例(65.5%)あった。5)black dot ringwormはT. violaceumの2例(姉妹例), T. rubrumおよびT. tonsuransの各1例にみられた。6)感染経路として動物が推定される例はM. canisの5例(猫または犬), T. verrucosumによる3例(牛)であった。7)ケルスス禿瘡の7例に白癬疹を認めた。8)治療は1例を除き抗真菌剤内服を行ったが, M. canisによるケルスス禿瘡は他の菌種によるものに比し長い治療日数を要する傾向にあった。
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© 1993 日本皮膚科学会西部支部
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