西日本皮膚科
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症例
塩酸ヒドロキシジン(アタラックス®), オキサトミド(セルテクト®)および塩酸チアラミド(ソランタール®)による薬疹
石川 武人村田 雅子西岡 和恵
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1995 年 57 巻 5 号 p. 1022-1027

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抄録

塩酸ヒドロキシジン(アタラックス®), オキサトミド(セルテクト®), および塩酸チアラミド(ソランタール®)による薬疹の1例を報告した。症例は72歳の男性。初診は平成4年6月25日。同年6月23日に腰部脊柱管狭窄症の手術を受け, 術後2日目頃に全身に紅色皮疹が出現。ついで同年7月に接触皮膚炎に対し投与されたオキサトミドを内服の翌日, 同様皮疹が出現。さらに平成6年4月に感冒に対し投与された薬剤を内服の2日後, 再び全身に紅色皮疹が出現。皮疹出現時に投与された薬剤について施行したパッチテストで塩酸ヒドロキシジンは5%, 10%, 20%の, 塩酸チアラミドは10%の濃度で陽性。内服テストでは塩酸ヒドロキシジンは常用量の3分の1で, 塩酸チアラミドとオキサトミドは常用量内服で皮疹の再現をみた。これら3種の薬剤はピペラジン環を共通に有しており, これが抗原決定基と推測した。次いでピペラジン環を持つ他の薬剤3種および試薬1種についてパッチテストを行ったところ抗うつ剤であるマレイン酸ペラジン(プシトミン®)の10%, 20%の濃度で陽性反応を認め本剤に対しても注意が必要と考えた。

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© 1995 日本皮膚科学会西部支部
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