西日本皮膚科
Online ISSN : 1880-4047
Print ISSN : 0386-9784
ISSN-L : 0386-9784
症例
Etretinateが奏効した小児毛孔性紅色粃糠疹
吉田 雄一桐生 美麿旭 正一堀 嘉昭
著者情報
ジャーナル 認証あり

1996 年 58 巻 3 号 p. 398-401

詳細
抄録

7歳の男児。初診約2週間前に顔面, 手掌, 足底に痒性紅斑が出現, その後拡大した。初診時, 全身に毛孔一致性の鱗屑を伴う痒性紅斑を認め, ほぼ紅皮症の状態であった。毛孔性紅色粃糠疹の診断にてetretinate 1mg/kg/dayより内服を開始したところ, 約2週間で皮疹は劇的に軽快した。しかしetretinateを0.5mg/kg/dayに減量したところ, 症状が再び悪化したため1mg/kg/dayに増量, 約4週間で略治した。以後etretinateを漸減し約3ヵ月で内服を中止したが, 中止5ヵ月後の現在皮疹の再発をみない。この間etretinate内服により出現するとされる骨端線の早期閉鎖や過骨化の有無を定期的に手根骨X線撮影を行い検査したが, 特に異常は認められず他の副作用も特に認められなかった。以上より小児毛孔性紅色粃糠疹では症例によっては副作用の発現に十分留意しながら積極的にetretinateを投与すべきであると考えられた。

著者関連情報
© 1996 日本皮膚科学会西部支部
前の記事 次の記事
feedback
Top