西日本皮膚科
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治療
爪真菌症に対するイトラコナゾール内服療法の臨床的, 薬物動態学的検討
松本 忠彦田沼 弘之西山 茂夫
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1996 年 58 巻 5 号 p. 887-895

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抄録

爪白癬および爪カンジダ症を対象としイトラコナゾール1日1回100mg内服期間後にfollow-up期間を設け内服終了後の爪甲病変の経過について検討した。同時に血漿中および爪甲組織中薬剤濃度を測定した。12∼16週内服例の混濁比および肥厚の程度の減少は内服終了後も継続して認められた。これらの症例の総合臨床効果は12週判定で著効4/19例(21.1%[6.1∼45.6%]), 著効+有効16/19例(84.2%[60.4∼96.6%]), 24週判定で著効14/19例(73.7%[48.8∼90.9%]), 著効+有効18/19例(94.7%[74.0∼99.9%])で内服終了後も効果が持続することが示唆された。爪甲組織中濃度は各時点および患者によって測定値のばらつきが大きかったが, 4週以内にイトラコナゾールが検出された例が3例みられ早期に爪甲に移行している可能性が示唆された。内服終了後の持続性を10∼16週内服例の爪甲組織中平均濃度の推移でみると少なくとも24週目ではある程度の量が維持されていると推測された。副作用は下痢, 薬疹が各1例, GOT, GPTの上昇が1例に発現したがいずれも軽度なものであった。血漿中濃度は内服開始2週間後には定常状態に達し内服終了後比較的早期に消失していることが確認された。

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© 1996 日本皮膚科学会西部支部
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