西日本皮膚科
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治療
足白癬に対する塩酸ブテナフィン(メンタックス®)の臨床的検討
—有用性および再発率について—
渡辺 晋一高橋 久
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1997 年 59 巻 2 号 p. 293-298

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抄録

足白癬に対する塩酸ブテナフィン(メンタックス®)の有用性および治療後の再発率を明らかにすることを目的として, 10施設よりなる研究班を組織し, 臨床研究(治療試験および再発試験)を実施した。再発試験は原則として4週間の治療を行い, 「有効」以上と判定された症例に対して, 継続して1ヵ月間の追加治療をした群と治療をしなかった群の2群に分けて実施した。それぞれの試験の症例数は, 全症例数83例のうち, 治療試験64例, 再発試験50例(追加治療実施群: 23例, 追加治療非実施群: 27例)であった。治療試験の結果は皮膚症状の改善率89.1%, 菌陰性化率68.8%で, 総合効果判定は有効率68.8%であった。また副作用は1例(1.6%)に認められ, 有用率は68.8%であった。再発試験の結果, 追加治療実施群および非実施群の再発率はそれぞれ43.0%および60.2%であり, 両群間に統計学的な有意差は認められなかったものの, 追加治療を実施した方が再発率が低かった。追加治療実施の有無を問わない50例における最終再発率は55.4%であった。また背景因子の中で再発しやすい菌種や足白癬の病型, 患者の治療上のコンプライアンスが関与している可能性が示唆された。以上の成績から塩酸ブテナフィンの足白癬に対する有用性が確認され, 治療後1年以内に約半数の患者が再発することが明らかになった。

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© 1997 日本皮膚科学会西部支部
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