沖縄地区における乾癬患者に対するシクロスポリン少量長期投与試験の結果をほかの諸施設での同様の試験と比較検討した。今回シクロスポリンの初期投与量を2.5mg/kg/日から開始し, 原則として24週間投与し, 症状の改善に応じて適宜増減する方法をとった。対象患者はすべて尋常性乾癬で, 重症20%, 中等症73%, 軽症7%の計17例であった。結果は最終全般改善度では改善以上が93.3%, 概括安全度は問題なしが64.7%, 有用度は有用以上が93.3%であった。PASIスコアは開始時が平均22.25であったが, 終了時は4.28と著明な改善(p<0.001)がみられた。PASIスコアの85%以上改善率は終了時で53.3%であった。試験期間中有意な血圧の変動は認められなかった。副作用の発現は, 高血圧2例, 腎障害1例, 貧血1例, 腹痛下痢1例, 全身倦怠感1例の計6例(35.3%)あった。それらの程度は高血圧の1例の高度を除き, ほかはすべて軽度または中等度であって, シクロスポリン投与中止後はほぼ全例で回復した。従来より乾癬に対するシクロスポリン至適投与量は3mg/kg/日とされているが, 今回の我々の方法でもこれに劣らない結果が得られた。このことは少なくとも3mg/kg/日よりさらに低い量での試みがあってよい可能性を示唆している。今後このような試みが蓄積され, より低い至適投与量が求められることを期待する。
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