西日本皮膚科
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59 巻, 2 号
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図説
綜説
症例
  • 大竹 直樹, 内宮 礼嗣, 肥後 暁子, 神崎 保
    1997 年 59 巻 2 号 p. 201-204
    発行日: 1997/04/01
    公開日: 2011/01/14
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    24歳の男性の日光蕁麻疹の1例を経験した。作用波長は435∼485nmに存在した。作用波長照射の前後で, より長波長の光線を照射したが膨疹形成がみられ, 抑制波長は存在しないと考えた。in vitroで作用波長を含む可視光を照射した患者血清による皮内テストで膨疹が生じ, 血清中に膨疹惹起因子が存在することが確認された。これらの結果から本症例はHarberらの分類1)のIV型に属すると考えられた。またUVA, UVB, PUVAによる前処置で膨疹の抑制はみられなかった。治療としてはマレイン酸クロルフェニラミン内服で, ある程度の効果がみられている。
  • 仙波 紀子, 安西 三郎, 高崎 修旨, 高安 進
    1997 年 59 巻 2 号 p. 205-208
    発行日: 1997/04/01
    公開日: 2011/01/14
    ジャーナル 認証あり
    53歳の男性。数年前より難治性の下腿浮腫が認められていた。下腿皮膚の病理組織学的所見では真皮上層の浮腫·毛細血管増生および脂肪織での著明な膠原線維の増生が認められ, うっ滞性皮膚炎の像を呈し, 両下腿静脈造影で深部静脈血栓症が認められた。入院中持続的な低蛋白·低アルブミン血症が認められ, α1-アンチトリプシンクリアランスの測定および99mTc標識アルブミンによるRIイメージングで, 蛋白の消化管への漏出が認められ蛋白漏出性腸症と診断した。自験例では深部静脈血栓に加えて蛋白漏出性腸症があるため, 高度の下腿, 足背の浮腫をきたしたものと考えた。
  • —若年性側頭動脈炎との異同を中心として—
    井上 卓也, 成澤 寛, 後藤 由美子, 幸田 弘
    1997 年 59 巻 2 号 p. 209-212
    発行日: 1997/04/01
    公開日: 2011/01/14
    ジャーナル 認証あり
    43歳の男性に発症したtemporal arteritisの1例を報告した。本症例は全身症状が軽微で赤沈, CRPともに正常であり, 1975年にLieらが初めて提唱したjuvenile temporal arteritisに類似していた。病理組織学的には巨細胞の出現と好酸球の著明な浸潤が認められ, ステロイドの全身投与により症状は速やかに消失した。
  • 大村 明子, 武藤 正彦, 廣田 洋子, 一宮 誠, 永井 浩
    1997 年 59 巻 2 号 p. 213-216
    発行日: 1997/04/01
    公開日: 2011/01/14
    ジャーナル 認証あり
    29歳の女性。初診は平成6年12月2日。同年7月初旬に前頚部, 顔面の浮腫性紅斑が出現し近医にてSweet病を疑われ治療されるが両上腕伸側, 背部の浮腫性紅斑に次いで小潰瘍が多発してきた。その2ヵ月後に40度の発熱を生じ4ヵ月後に筋痛が出現, 起立動作が不自由となったが明らかな筋萎縮は認められなかった。血液生化学検査では抗核抗体100倍(diffuse pattern), 筋原性酵素の上昇が認められた。筋電図ではmyogenic pattern。尿蛋白は陰性。病理組織学的には右大腿部浮腫性紅斑では血管炎, 右大腿四頭筋では筋細胞の壊死, 細血管周囲のリンパ球浸潤が認められた。肺病変や内臓悪性腫瘍の合併は認められなかった。皮膚筋炎と診断し, プレドニゾロン40mg/dayより治療を開始した。現在はプレドニゾロン10mg/dayでコントロール良好で紅斑の新生, 筋痛や筋原性酵素の上昇は認められない。1年半後の現在, 両大腿部に筋萎縮が認められる。
  • 水田 良子, 安田 勝, 名西 史夫, 盧 徳鉉
    1997 年 59 巻 2 号 p. 217-221
    発行日: 1997/04/01
    公開日: 2011/01/14
    ジャーナル 認証あり
    大量消化管出血, 躯幹の多発性皮膚潰瘍および大腿部の板状皮下硬結を生じた皮膚筋炎の50歳の女性例を経験した。発病より10年後の今回, 躯幹の多発性皮膚潰瘍で入院中, 大量消化管出血をきたした。消化管出血は大量輸血とembolizationで止血し救命しえたが, この時血管造影により上腸間膜動脈の異常が確認された。皮膚潰瘍の病理組織標本には細小動脈の血栓形成などの閉塞性血管病変が見出された。Systemic angiopathy(Banker)の概念を満たす症例であると思われる。また6年前(発病の4年後)には大腿部に皮下硬結を生じており, Winkelmannのいう皮膚筋炎の脂肪織炎に一致すると思われる。間質性肺炎は現在までみられていない。
  • 西山 成寿, 野田 英貴, 坪井 賢朗
    1997 年 59 巻 2 号 p. 222-226
    発行日: 1997/04/01
    公開日: 2011/01/14
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    24例の(全頭型および汎発型)の円形脱毛症患者に対してsquaric acid dibutylester(SADBE)の外用療法を行い, その臨床効果について検討を行った。患者の年齢は2歳から57歳までであった。2%SADBEアセトン溶液で感作し, 0.0001%から1%までのSADBEを原則として週に1回外用した。24例のうち17例(71%)に発毛がみられ, 臨床的に著効あるいは改善がみられた。発毛がみられるまでの治療期間は1ヵ月から6ヵ月までであった。無効は7例, また治療の中断などにより6例では脱毛が再発した。しかし脱毛が再発した6例は治療の再開により再び発毛がみられた。発毛効果を維持するためにはSADBEによる接触皮膚炎を持続させることが必要であると考えられた。SADBEの外用療法は全頭型および汎発型の円形脱毛症に対する有効な治療方法であると考えられた。
  • 平岩 厚郎, 松本 義也, 高井 和子
    1997 年 59 巻 2 号 p. 227-231
    発行日: 1997/04/01
    公開日: 2011/01/14
    ジャーナル 認証あり
    われわれが10年間に経験したpseudocyst of the auricle(PCA)の10例について報告した。全例が男性であり, 年齢は16歳から71歳にわたり, 2例が両側性であった。また3例がアトピー性皮膚炎, 2例が顔面あるいは耳介湿疹を合併し, さらに3例が耳介に外傷の既往があるかヘルメットを着用していた。PCA内容液中のLDHは高値を示し, またそのアイソザイムはLDH5が優位であった。ステロイド局注によりPCA内容液中のLDHは低下し, 発症後1∼2週で受診したものは1, 2回のステロイド局注で治癒した。
  • 川上 泰二, 山元 修, 末永 義則, 旭 正一
    1997 年 59 巻 2 号 p. 232-234
    発行日: 1997/04/01
    公開日: 2011/01/14
    ジャーナル 認証あり
    6歳の女児のeccrine angiomatous hamartomaにangiokeratomaを合併した例を報告した。3歳時に右膝蓋部に赤紫色調の皮疹が出現し, 次第に隆起し表面が顆粒状になった。病理組織学的所見として, 過角化を示す表皮の直下に拡張した毛細血管腔が認められ, 真皮内にエクリン汗腺の増加と拡張した血管が多数認められた。自験例を含む本邦報告例37例ではeccrine angiomatous hamartomaは女性に多くみられ, 出生時または幼少時に発症し四肢に好発していた。本症でしばしば認められる圧痛や多汗は本症例では認められなかった。本症にangiokeratomaを合併した例は本邦で2例報告されているが, 自験例を含めた臨床的特徴はangiokeratomaを伴わない通常のものと同様であった。
  • 磯田 美登里, 藤原 恵
    1997 年 59 巻 2 号 p. 235-237
    発行日: 1997/04/01
    公開日: 2011/01/14
    ジャーナル 認証あり
    43歳の女性。約1年前に右大陰唇の自覚症状のない皮下腫瘤に気づいた。初診時の現症は隆起した境界明瞭な40×20mmの充実性の柔らかい皮下腫瘤であった。病理組織学的に真皮から皮下組織にかけてうすい線維性被膜で囲まれた腫瘍が認められ, 腫瘍は多数の血管増殖と細胞成分の密な部分と粗な部分が交互に占める基質より構成され, 浮腫性の間質には紡錘型または卵型の基質細胞が散在性にみられた。基質細胞はvimentin, desmin, α-smooth muscle actinに陽性を示した。これらの結果よりangiomyofibroblastomaと診断した。切除後3ヵ月の現在, 再発は認められていない。
  • —サイトケラチンの染色パターンから被覆表皮ないし外毛根鞘漏斗部に分化していると考えられた症例—
    小辻 智恵, 梅林 芳弘, 岩田 充, 大塚 藤男
    1997 年 59 巻 2 号 p. 238-240
    発行日: 1997/04/01
    公開日: 2011/01/14
    ジャーナル 認証あり
    66歳の男性の右下腿に生じた19×15mmの結節を全摘した。病理組織像で, 表皮全層におよぶ腫瘍巣がみられた。角質物質を満たした陥凹周囲にclear cellが増殖し, これらはPAS染色陽性でジアスターゼで消化された。その周囲にはclumping cellを含む異型性の強い好塩基性細胞が増殖しており, 顆粒層を経ずに角層に移行するいわゆるtrichilemmal keratinization様の部分もみられた。辺縁部の柵状配列はみられなかったが, これらの所見からはmalignant trichilemmoma(MT)と診断するのが妥当であると考えられた。サイトケラチンに対するモノクローナル抗体を用いた免疫組織化学染色で腫瘍細胞の分化を検討したところ, 染色パターンは被覆表皮および外毛根鞘漏斗部と一致した。よって外毛根鞘へ分化するとされているMTよりはBowen病と同一のものと考えられた。HE染色所見のみからMTと診断するとかなりの誤診例があると思われ, 免疫組織化学的検討が大切であると考えた。
  • 石澤 俊幸, 近藤 慈夫
    1997 年 59 巻 2 号 p. 241-243
    発行日: 1997/04/01
    公開日: 2011/01/14
    ジャーナル 認証あり
    82歳の女性。10年前より腰部に黒褐色斑があるのに気づいていたが, 増大したことには気づいていなかった。自転車で転倒し某整形外科医院を受診した際, 腰部の腫瘤を指摘され山形県立河北病院皮膚科紹介となった。腰部中央に表面に痂皮と糜爛を伴う20×20mmの淡紅色腫瘤がみられ, その5mm下方には比較的境界鮮明で, 辺縁に痂皮が付着した20×20mmの黒褐色斑が並んで認められた。病理組織学的所見: 1) 淡紅色腫瘤; 表皮は索状, 分葉状構築を示し, 腫瘍細胞巣を構成する細胞は辺縁では基底細胞様細胞, 中央に向かうに従いPAS染色弱陽性(ジアスターゼ消化性)のclear cellが主体となり, trichilemmal keratinizationを経て角質となっていた。2) 黒褐色斑; 表皮細胞は配列不整, 核の大小不同, 分裂像が認められた。以上より淡紅色腫瘤はmalignant trichilemmoma, 黒褐色斑はBowen病と診断した。腰部に生じたmalignant trichilemmomaは極めて稀であり, また単発したBowen病と併発した症例はこれまで報告がなく若干の文献的考察を加え報告する。
  • 古賀 哲也, 清水 昭彦, 利谷 昭治
    1997 年 59 巻 2 号 p. 244-246
    発行日: 1997/04/01
    公開日: 2011/01/14
    ジャーナル 認証あり
    83歳の男性の固定型スポロトリコーシス患者について以下の検討を行った。スポロトリキン遅延型皮内反応は陽性。スポロトリキンを用いたリンパ球幼若化試験では高い刺激比を示した。また患者末梢血単核球をスポロトリキンの存在下で72時間培養した培養上清中には高いIFN-γ活性が認められた。以上より患者末梢血中にはスポロトリキン刺激により増殖し, またIFN-γを産生するスポロトリキンに特異的なT細胞が存在することが判明した。おそらくこのような抗原特異的T細胞が感染局所において遅延型過敏反応を引き起こし真菌の排除に重要な役割を演じていると考えられ, 若干の文献的考察を加え報告した。
研究
  • 田尻 雅夫, 中村 佳代, 森脇 由紀, 最上 聡, 麻上 千鳥
    1997 年 59 巻 2 号 p. 247-251
    発行日: 1997/04/01
    公開日: 2011/01/14
    ジャーナル 認証あり
    炎症性苔癬化局面での臨床的有効性をもとにW/O型尿素軟膏の経皮吸収促進作用を生検材料40検体について病理組織学的に細胞数を数値化して評価し結果を報告した[西日皮膚 58: 271-277, 1996.]。この作用の有無をさらに確かめるために今回は左右下腿または大腿の乾癬皮疹に対して0.05%トリアムシノロン軟膏加5%W/O型尿素軟膏を塗布した場合(ミックス)と, 0.1%トリアムシノロン軟膏と10%W/O型尿素軟膏を重ね塗りした場合(重層)とを比較検討した。0.05%トリアムシノロン(TC)軟膏加5%W/O型尿素軟膏(ミックス)と0.1%TCと10%W/O型尿素軟膏の重ね塗り(重層)は乾癬の紅斑, 苔癬化局面を14∼28日外用後にそれぞれ消褪させステロイドは半量であるにもかかわらずミックスが同等の効果を示した。病理組織学的には外用28日後の真皮リンパ球数では重層, ミックスとも差はみられなかった。今回の結果からW/O型尿素軟膏は経皮吸収促進剤として評価できた。
  • 篠田 勧, 森田 栄伸, 三原 祥嗣, 高路 修, 山田 悟, 山本 昇壯
    1997 年 59 巻 2 号 p. 252-254
    発行日: 1997/04/01
    公開日: 2011/01/14
    ジャーナル 認証あり
    伴性遺伝性魚鱗癬(以下, XLI)患者のsteroid sulfatase(以下, STS)遺伝子をpolymerase chain reaction(以下, PCR)法を用いて解析した。臨床症状ならびにSTS活性の測定で確定診断されたXLI患者9例について末梢血白血球よりgenomic DNAを抽出し, STS遺伝子の2ヵ所(STS遺伝子上流領域; 5'STS, STS遺伝子下流領域; 3'STS)をPCR法にて増幅した。9例中8例で5'STS, 3'STSともに増幅されず, STS遺伝子の全欠損が示唆された。9例中1例で5'STS, 3'STSともに増幅された。この結果は本邦においてもXLI患者では高頻度にSTS遺伝子を欠損するというこれまでの報告を支持するものと思われた。
  • 中村 遊香, 渡辺 晋一, 高橋 久, 長谷川 篤彦
    1997 年 59 巻 2 号 p. 255-256
    発行日: 1997/04/01
    公開日: 2011/01/14
    ジャーナル 認証あり
    局所の血流増加を目的として開発されたパルス放電刺激器をモルモットの背部皮膚にあて, 刺激前後の血流動態をレーザー·ドップラー血流計を用いて経時的に観察した。その結果, 血流増加は被験部位およびその周囲に限局し, 刺激を行った直後から30分間の測定時間中に持続的な血流増加が認められた。各測定値を詳細に検討したところ, まず最初は血管拡張を伴わずに血流速度のみの上昇が認められ, 次いで血流速度が減少し, それに対応するように血管拡張が認められた。また同時に観察を行った発赤, 腫脹, 熱感などの皮膚所見と血流変動を比較検討したところ, 血流増加と皮膚所見の間には明確な相関は認められず, 肉眼的に血管の拡張を示唆する発赤などが強く認められなくても血流は有意に増加していることがわかった。以上のことからパルス放電刺激器は局所の血流増加を目的とする理学療法に十分使用できるものと思われた。
講座
統計
  • —顔面限局型は存在するか—
    新澤 みどり, 佐藤 俊樹, 富田 靖
    1997 年 59 巻 2 号 p. 266-269
    発行日: 1997/04/01
    公開日: 2011/01/14
    ジャーナル 認証あり
    秋田大学医学部皮膚科アトピー外来における成人型アトピー性皮膚炎患者のうち顔面紅斑が高度で難治かつ体幹や四肢にほとんど皮疹が認められない12症例を顔面限局型と仮称し, 顔面を含む全身の皮疹が難治な同数の症例(全身型)と比較検討した。顔面限局型は思春期にスポーツなどを直接の契機に発症する例が多く通常の治療では軽快せず転院を繰り返していた。アトピー素因は本人の既往症·合併症·家族歴とも2群間に差はないが, 重篤な眼合併症は全身型に多かった。血清IgE値は顔面限局型で平均1261IU/ml, 全身型で5357IU/mlと有意に全身型で高値であった。これは皮疹の総面積を反映しているものと考えられた。末梢血好酸球数は顔面限局型で平均747/mm3, 全身型が679/mm3であった。顔面限局型は丁寧なスキンケア指導, 短期ステロイド外用, 免疫抑制剤軟膏が奏効する例が多く, 全身型とは異なる対応が必要と思われた。
  • 水虫バスターズフォーラム委員会
    1997 年 59 巻 2 号 p. 270-274
    発行日: 1997/04/01
    公開日: 2011/01/14
    ジャーナル 認証あり
    1995年5月∼9月にファックスと郵送により水虫について2607件の相談を受け, 水虫バスターズフォーラム委員会の10名で回答した。相談者の男女比は1: 1.5で女性に多く, 年齢別では40歳台から60歳台の相談が多かった。相談内容から推測される症状では足の爪白癬が疑われるものが49%で最も多かった。爪白癬が難治でありグリセオフルビン内服療法の中断が多いことなどが原因として考えられた。抗真菌剤を内服できない患者の相談も多く, 爪を削って外用するなどの方法を回答した。相談者の診療状況をみると, 現在または過去に皮膚科にかかったが治らないという相談が半数を占めた。また皮膚科でも真菌検査を受けていない例が一部にあり, 白癬の診療に不可欠な真菌検査がきちんとなされていないのは皮膚科の診療の質が問われる問題と思われた。また足白癬について薬の塗り方の指導, 外用期間の指導が不充分であったために再発したと思われる例も多かった。必ずしも水虫とはいえない相談が12.2%にみられた。自称水虫の1/3は白癬ではないとの研究もあり, 接触皮膚炎などにも注意が必要と思われる。回答には31種類の回答パターンを使用したが(表2), 病状の説明や相談への対応に応用できると思われる。今後ファックス相談を含めて, 水虫についての正しい知識を種々の方法で啓蒙していく必要があると思われた。
治療
  • —有用性, 安全性, 至適投与量の検討—
    萩原 啓介, 細川 篤, 野中 薫雄, 宮里 肇, 江良 幸三, 宮国 均, 宮城 嗣名, 青木 武雄, 冨永 智
    1997 年 59 巻 2 号 p. 275-284
    発行日: 1997/04/01
    公開日: 2011/01/14
    ジャーナル 認証あり
    沖縄地区における乾癬患者に対するシクロスポリン少量長期投与試験の結果をほかの諸施設での同様の試験と比較検討した。今回シクロスポリンの初期投与量を2.5mg/kg/日から開始し, 原則として24週間投与し, 症状の改善に応じて適宜増減する方法をとった。対象患者はすべて尋常性乾癬で, 重症20%, 中等症73%, 軽症7%の計17例であった。結果は最終全般改善度では改善以上が93.3%, 概括安全度は問題なしが64.7%, 有用度は有用以上が93.3%であった。PASIスコアは開始時が平均22.25であったが, 終了時は4.28と著明な改善(p<0.001)がみられた。PASIスコアの85%以上改善率は終了時で53.3%であった。試験期間中有意な血圧の変動は認められなかった。副作用の発現は, 高血圧2例, 腎障害1例, 貧血1例, 腹痛下痢1例, 全身倦怠感1例の計6例(35.3%)あった。それらの程度は高血圧の1例の高度を除き, ほかはすべて軽度または中等度であって, シクロスポリン投与中止後はほぼ全例で回復した。従来より乾癬に対するシクロスポリン至適投与量は3mg/kg/日とされているが, 今回の我々の方法でもこれに劣らない結果が得られた。このことは少なくとも3mg/kg/日よりさらに低い量での試みがあってよい可能性を示唆している。今後このような試みが蓄積され, より低い至適投与量が求められることを期待する。
  • 桑名 隆一郎, 森岡 雅史, 伊達 あけみ, 澤村 豊, 安芸 修躬, 荒瀬 誠治
    1997 年 59 巻 2 号 p. 285-287
    発行日: 1997/04/01
    公開日: 2011/01/14
    ジャーナル 認証あり
    男性型脱毛症の育毛効果に影響を及ぼす因子についてFJ30ローションを用いて検討した結果, 次のような傾向がみられた。(1)頭頂部では緒方分類II型, IV型の改善度に有意差は認められなかった。(2)頭頂部では初期よりも末期の方が改善率が高かった。(3)若年者群よりも中年者群の方が改善率が高かった。(4)7∼9月外用群と比較して1∼3月外用群で改善率が高かった。以上より育毛剤の効果を判定するにはこれらの因子の影響を考慮すべきであると思われた。
  • 根本 治, 大河原 章, 月永 一郎, 加藤 直樹, 渡辺 邦友
    1997 年 59 巻 2 号 p. 288-292
    発行日: 1997/04/01
    公開日: 2011/01/14
    ジャーナル 認証あり
    外用抗菌剤ナジフロキサシン(アクアチム®クリーム)の尋常性ざ瘡に対する臨床的効果と細菌学的検討を行った。臨床的に有効以上76.5%を示し, 副作用はそう痒感の2例(1.8%)で安全性は98.2%であった。有用性は有用以上が75.5%を示し, とくに30歳以上の有用性は95.5%であった。皮膚所見において炎症に対して顕著な効果を示した。細菌学的にはPropionibacterium acnesに対する最小発育阻止濃度MIC90は投与前後とも0.2μg/mlを示したが, 投与後においてMICが6.25μg/mlと感受性の低くなった株が2株検出された。
  • —有用性および再発率について—
    渡辺 晋一, 高橋 久
    1997 年 59 巻 2 号 p. 293-298
    発行日: 1997/04/01
    公開日: 2011/01/14
    ジャーナル 認証あり
    足白癬に対する塩酸ブテナフィン(メンタックス®)の有用性および治療後の再発率を明らかにすることを目的として, 10施設よりなる研究班を組織し, 臨床研究(治療試験および再発試験)を実施した。再発試験は原則として4週間の治療を行い, 「有効」以上と判定された症例に対して, 継続して1ヵ月間の追加治療をした群と治療をしなかった群の2群に分けて実施した。それぞれの試験の症例数は, 全症例数83例のうち, 治療試験64例, 再発試験50例(追加治療実施群: 23例, 追加治療非実施群: 27例)であった。治療試験の結果は皮膚症状の改善率89.1%, 菌陰性化率68.8%で, 総合効果判定は有効率68.8%であった。また副作用は1例(1.6%)に認められ, 有用率は68.8%であった。再発試験の結果, 追加治療実施群および非実施群の再発率はそれぞれ43.0%および60.2%であり, 両群間に統計学的な有意差は認められなかったものの, 追加治療を実施した方が再発率が低かった。追加治療実施の有無を問わない50例における最終再発率は55.4%であった。また背景因子の中で再発しやすい菌種や足白癬の病型, 患者の治療上のコンプライアンスが関与している可能性が示唆された。以上の成績から塩酸ブテナフィンの足白癬に対する有用性が確認され, 治療後1年以内に約半数の患者が再発することが明らかになった。
世界の皮膚科学者
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