西日本皮膚科
Online ISSN : 1880-4047
Print ISSN : 0386-9784
ISSN-L : 0386-9784
症例
強皮症様皮膚症状と抗リン脂質抗体症候群を伴った慢性GVHD
辻 淳子石井 則久佐々木 哲雄中嶋 弘
著者情報
ジャーナル 認証あり

1998 年 60 巻 1 号 p. 54-57

詳細
抄録

45歳の女性。43歳時に慢性骨髄性白血病と診断され, 約5ヵ月後に実兄から骨髄移植を受けた。移植約7ヵ月後に運動性失語が出現し, 約19ヵ月後には両前腕部に強皮症様皮膚硬化が出現したが, 肺, 食道病変は認められなかった。抗核抗体640倍陽性(discrete speckled), ループスアンチコアグラント陽性を認めた。抗Scl-70, Sm, SS-A, SS-B, カルジオリピン, ミトコンドリア抗体はいずれも陰性であった。以上の所見および前腕皮膚生検所見からGVHDに伴う強皮症様変化と診断された。頭部CTでは急性脳梗塞の所見があり, 移植約21ヵ月後には腸間膜動脈血栓症も生じ抗リン脂質抗体症候群の合併と診断された。本症例のような慢性GVHD患者の検討は全身性強皮症や抗リン脂質抗体症候群の病因, 発生機序を解明するために有用と思われる。

著者関連情報
© 1998 日本皮膚科学会西部支部
前の記事 次の記事
feedback
Top