西日本皮膚科
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症例
衛星病巣を追発した小葉状毛細血管腫(毛細血管拡張性肉芽腫)
田島 誠也北村 豪楢原 進一郎緒方 克己井上 勝平
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1999 年 61 巻 5 号 p. 613-617

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抄録
左側頭部に単発した血管拡張性肉芽腫に対して単純切除縫縮術を行った4ヵ月後に, 3個の衛星病巣の追発をみた67歳男性例を報告した。血管造影にて3個の衛星病巣のいずれにも, 浅側頭動脈分枝からの流入枝を確認した。治療としては, まず浅側頭動脈を結紮切離し, 次に腫瘍を切除縫縮し, 電子線18Gyを後照射した。術後1年を経過した時点で, 浅側頭動脈を結紮切離した創部に一致して半米粒大腫瘤を1個認めたが, ステロイド軟膏外用のみにて消退した。その後再燃はない。病名としては血管拡張性肉芽腫(granuloma telangiectaticum)や化膿性肉芽腫(granuloma pyogenicum)よりも, 小葉状毛細血管腫(lobular capillary hemangioma)が適切であるとの見解に賛意した。自験例と同様の, 原発巣が単発し, その切除後などに衛星病巣の追発をみた本邦報告22症例との比較検討に基づき, 本症病変部局所の微小循環異常と治療法を主体に考察した。
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© 1999 日本皮膚科学会西部支部
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