抄録
70歳の女性。左下顎部に痂皮を伴う2.2×2.0cmの紅色調の結節を主訴に受診した。また,左頚部に3cmの皮下腫瘤を認めた。左下顎部結節の皮膚生検により,真皮内に類上皮細胞肉芽腫を認め,諸検査結果をふまえ結節型皮膚サルコイドーシスと診断した。頚部リンパ節腫大とともに結節型としては表皮変化が特徴的であり,中央部にびらん,痂皮を伴い,病理組織学的にexocytosisと,lichenoid tissue reactionを認めた。経過中,左下顎部の結節は自然軽快したが,頚部リンパ節が明らかに増大し,悪性リンパ腫との鑑別が必要となった。頚部MRIと細胞診の結果より,サルコイドーシスに伴うリンパ節腫大と考え,更に経過観察のみ行ったところ,皮膚結節,リンパ節ともに消失した。