西日本皮膚科
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症例
Toxic Epidermal Necrolysis(TEN)型皮疹を呈したDrug-induced Hypersensitivity Syndrome(DIHS)の1例
広瀬 憲志松立 吉弘飛田 泰斗史安齋 眞一久保 宜明荒瀬 誠治藤山 幹子村田 純子阿部 理一郎
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2009 年 71 巻 6 号 p. 584-588

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抄録

17歳, 男性。てんかん発作に対して, 2007年5月上旬からゾニサミド, 5月下旬よりカルバマゼピンを内服していたところ, 6月上旬39℃台の発熱があり, 翌日, 全身に紅斑, 粘膜疹が出現した。6日後(第6病日)の当科初診時, 全身にびまん性の紅斑, 粘膜疹があり, 白血球増加, 好酸球増加, 異型リンパ球の出現, 重度の肝機能障害が認められたため薬剤性過敏症症候群(DIHS)を疑い, 同日よりPSL60mg/日の投与を開始した。6月中旬(第9病日)に上下肢に水疱やびらんがみられたため, 中毒性表皮壊死症(TEN)を考え, mPSL 1g/日のパルス療法を3日間施行し, 第12病日よりベタメタゾン8mg/日投与を開始した。しかし皮疹の拡大は止まらず, 免疫グロブリン大量療法(20g/日×5日間)を追加した。以後, 皮疹は軽快し, ステロイド薬を漸減した。血清中のHHV-6 DNAが陽性で, HHV-6 IgG 抗体価は80倍(第6病日)から10240倍(第19病日)へ上昇した。第2, 6, 8病日の血清ではsoluble Fas ligand(sFasL)が高値であった。第51病日に実施した薬剤リンパ球刺激試験(DLST)とパッチテストでは, ともにゾニサミド, カルバマゼピン, アモキシシリン(6月上旬の発症時より内服)で陽性であった。本邦ではHHV-6の再活性化がみられたStevens-Johnson症候群(SJS)/TENの報告は8例で, そのうちDIHSと診断可能な症例が6例あった。従来の薬疹と同様に, DIHSの中にも, 表皮の障害が軽度のものから重症のものまで存在していると考えられた。

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© 2009 日本皮膚科学会西部支部
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