抄録
圧迫に対する組織反応は褥瘡の発生を理解する上で重要であるが,これまで褥瘡組織を検討した報告は少ない。今回われわれは,他疾患との鑑別のため,紅斑から皮膚生検を施行し,褥瘡の診断に至った患者4例について組織学的検討を行った。いずれも肉眼的に紅斑を呈する症例であったが,組織学的には,毛細血管の拡張と増生とともに赤血球の漏出が存在するもの,表皮から皮下組織まで広範に壊死しているもの,毛のう部の膠原線維間の線維化と周囲の炎症性細胞浸潤が認められるもの,表皮の偽癌性増殖と真皮の炎症細胞浸潤像を呈すものなど種々の組織学的変化が確認された。以上から,肉眼的には同様の紅斑でも,組織学的に,創傷治癒過程の様々な組織像を呈することが分かった。さらに,これらの組織を過去に報告された褥瘡組織と比較検討した。