西日本皮膚科
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症例
肉芽腫性血管炎を認めた潰瘍型皮膚サルコイドの 1 例
白井 礼子三砂 範幸井上 卓也成澤 寛
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2013 年 75 巻 6 号 p. 499-503

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抄録

85 歳,女性。両側下腿に色素沈着を伴った比較的広範な板状の皮下硬結が出現した。その約半年後,肺結核と診断された。抗結核薬投与で肺結核は改善したものの,下腿の板状硬結に変化はなく,次第に潰瘍を伴ってきた。皮膚病変の病理組織像 (真皮から皮下脂肪織にかけての類上皮細胞肉芽腫,および真皮の血管壁内の類上皮細胞肉芽腫),両側肺門部リンパ節腫脹,ぶどう膜炎,および血清 ACE 活性高値から,サルコイドーシスと診断された。潰瘍を伴った板状硬結は,皮膚サルコイド (潰瘍型) とバザン硬結性紅斑の鑑別を要したが,臨床経過および病理組織像から前者と診断した。下腿潰瘍に対してプレドニゾロン 0.5 mg/kg/day 内服を開始し,約 2 カ月半で上皮化した。サルコイドーシスで潰瘍を呈するものは稀であり,さらに肉芽腫性血管炎を伴った潰瘍型皮膚サルコイドは非常に稀である。本症例は潰瘍化の原因として肉芽腫性血管炎の関与が考えられた興味深い症例であった。

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© 2013 日本皮膚科学会西部支部
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