西日本皮膚科
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症例
肺移植患者に生じた白癬性肉芽腫の1例
村尾 玲古賀 文二古賀 佳織藤 洋美今福 信一
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2018 年 80 巻 1 号 p. 45-50

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抄録

61 歳,男性。2011 年に特発性肺線維症と診断され,ステロイドの全身投与が開始された。2015 年 8 月に左肺移植術が行われ,免疫抑制剤も併用された。同年 12 月中旬より臀部に瘙痒のない褐色斑が出現し当科を受診した。体部白癬の診断で抗真菌剤の外用薬を開始し,まもなく軽快した。2016 年 3 月より両足底と臀部に痂皮を伴う多発性の小結節が出現した。皮膚生検,培養検査および遺伝子検査結果より,Trichophyton rubrum による白癬性肉芽腫と診断した。フルコナゾール内服を開始し,約 2 カ月で皮疹は消退した。白癬性肉芽腫は以前より報告があるが,近年では臓器移植後の発症例も報告されている。臓器移植数は,徐々に増加してきており,皮膚科医は本疾患を改めて認知しておくべきだと考える。

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© 2018 日本皮膚科学会西部支部
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