西日本皮膚科
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図説
特異な臨床像を呈した線状皮膚炎
江川 清文
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2021 年 83 巻 5 号 p. 395-396

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抄録

患者:61 歳,女性

初診:2020 年 8 月初旬

主訴:右前胸部のヒリヒリする紅斑

現病歴:2 日前より右前胸部にヒリヒリする紅斑が出現し,次第に酷くなってきた。症状(図 1 )から刺激性接触皮膚炎を疑い問診したところ,漂白剤や消毒剤等の化学薬品の使用歴はなかったが,発症直前の草取り中に小さい虫をタオルで数回払った記憶があった。

初診時現症:表面に小水疱を付した,数条の紅暈を伴う淡灰色皮疹を認めた(図 1 )。

診断:線状皮膚炎

治療および経過:クロベタゾールプロピオン酸エステル軟膏と亜鉛華軟膏の外用およびフェキソフェナジン塩酸塩 120 mg の分 2 内服を 1 週間行った。初診日翌日には淡灰色部分は暗灰褐色に色調変化を来しており(図 2 ),1 週間後には紅暈部は鱗屑を伴い上皮化していたが,暗灰褐色部は痂皮を残しており皮膚障害がより高度であったことが窺われた(図 3 )。

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