西日本皮膚科
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症例
乳癌の眼部転移の 1 例
岡﨑 布佐子池田 雅彦
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キーワード: 乳癌, 皮膚転移
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2022 年 84 巻 1 号 p. 53-55

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抄録

70 歳,女性。初診の 8 年 2 カ月前に右乳癌根治術を施行された。浸潤性小葉癌であった。術後,化学療法とホルモン療法を施行していたが,胸膜および軟部組織に再発し,水腎症,閉塞性黄疸を併発した。初診の 1 カ月前に左眼瞼下垂が出現し,左眼瞼の紅斑を主訴に紹介された。左上眼瞼に浸潤を触れる暗紅色斑を認めた。眼瞼からの生検にて E カドヘリン陰性,34βE12 陽性の腫瘍細胞を認め,原発巣と一致したため浸潤性小葉癌の転移と診断した。放射線療法を開始し,眼瞼の腫脹は消退したが,初診の 4 カ月後に死亡した。悪性腫瘍の眼科領域への転移はまれである。原発巣は乳癌が最も多く,乳癌の中では浸潤性小葉癌が多い。癌治療の進歩とともに癌患者の生存期間は延長しており,眼科領域転移も今後増加すると思われる。

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© 2022 日本皮膚科学会西部支部
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