整形外科と災害外科
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シャント術を施行した仙骨嚢腫の1例
村上 勝彦相谷 哲朗那須 正義
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2006 年 55 巻 4 号 p. 432-435

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抄録

【目的】治療に抵抗する仙骨嚢腫にshuntを行ったので報告する.【症例】40歳女性.腰下肢痛のため5分間の坐位が不可.MRIで嚢腫と診断し,保存療法を1ヶ月行うも効果なく,早期復職目的で手術施行.嚢腫とくも膜下腔の間にshunt tube挿入,髄液漏出予防でフィブリン糊を滴下した.1週臥床の後,2週で退院,1ヶ月で復職した.短期だが髄液漏出なく経過良好である.【考察】保存療法が原則であるが,激しい疼痛,知覚障害・筋力低下・排尿障害を伴ったり,治療に抵抗する場合は手術を考慮するべきである.手術には壁の縫縮や焼灼,弁機構開放,周囲神経との癒着剥離,shuntなどがある.症状発現は坐位で腹圧と髄液圧が上がり,チェックバルブにより嚢腫内に髄液が流入し,馬尾や神経根が圧排され,発症したものと思われた.そのため,減圧にて症状改善可能と考えshuntを行った.【まとめ】治療に抵抗する仙骨嚢腫にshuntを行った.短期だが髄液漏出なく経過良好である.

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© 2006 西日本整形・災害外科学会
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