整形外科と災害外科
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大腿四頭筋腱損傷に対し,自家腱を用いた腱補強修復術を行ったWerner症候群の1例
中村 英一鬼木 泰成工藤 智志前川 剛史水田 博志
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2007 年 56 巻 2 号 p. 157-161

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抄録

【目的】大腿四頭筋腱損傷に対し,自家腱を用いた腱補強修復術を行ったWerner症候群の1例を経験したので報告する.【症例】57歳,男性.約5年前より両踵部の難治性皮膚潰瘍が出現し,近医を受診.早老性顔貌や白内障などがみられ,Werner症候群と診断された.1年前風呂場で転倒した際,右膝を打撲し,以後歩行不能となったため,当科外来を受診した.大腿四頭筋総腱部に圧痛を認め,また陥凹を触知した.膝自動伸展は不能であった.X線上腱付着部剥離骨折と膝蓋骨低位を認め,大腿四頭筋腱損傷と診断した.緊急入院後,大腿四頭筋腱補強修復術を行った.補強は,人工靭帯は使用せず,患肢より半腱様筋腱を採取し,これを膝蓋骨下端に通した後,総腱内を8字状に通して膝屈曲60°で縫合した.術後11ケ月時,右膝関節の可動域は0-115°,伸展不全は10°で,踵部痛のため歩行距離は制限されているが,独歩可能である.

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© 2007 西日本整形・災害外科学会
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