整形外科と災害外科
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軽微な外傷後に進行した脆弱性骨盤骨折に対し手術療法を行った1例
木下 栄井田 敬大長友 雅也
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2018 年 67 巻 2 号 p. 227-230

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抄録

【はじめに】軽微な外傷後に進行した脆弱性骨盤骨折に対し保存療法を行ったが骨折の進展を認めた症例に観血的治療を行い良好な結果を得た1例を報告する.【症例】71歳,女性.屋外歩行時の転倒による受傷であった.Xpでは左恥骨上枝に骨折を認めており,CTでは仙骨周囲に骨折なく,保存療法とした(Rommens分類:typeⅠa).退院後に疼痛増強にて再診となりCTで新たに転位のない仙骨骨折を認めた(typeⅡc).PTH製剤の使用にて保存加療継続とし自宅退院となったが,その後の経過CTにて仙骨骨折部の骨癒合遷延(typeⅢc)を認め受傷80日目に観血的治療を行った.術後6か月後のXpでは恥骨上枝,仙骨ともに骨癒合を認めた.【考察】脆弱性骨盤骨折の多くは低エネルギーによるものであり,Rommens分類:typeⅡ以下に対しては保存療法が原則である.観血的治療の厳密な適応はないが諸家の報告と同様にRommens分類:TypeⅡからTypeⅢへの進展が観血的治療の目安になると考える.

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© 2018 西日本整形・災害外科学会
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