整形外科と災害外科
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診断遅延した非骨折性急性コンパートメント症候群の1例
中山 宗郎宮本 俊之福島 達也田口 憲士森 圭介上木 智博木下 直江尾﨑 誠
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2018 年 67 巻 2 号 p. 231-233

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抄録

非骨折性急性コンパートメント症候群の診断が遅れたために,コンパートメントデブリドマンを行った1例を経験したので報告する.症例は15歳男性で,サッカー中に明らかな外傷なく左下腿痛が出現した.帰宅したが疼痛持続あり近医受診した.安静および鎮痛薬内服で経過観察されていたが,下肢痛増悪し受傷3日目にMRI精査したところ,長短腓骨筋の腫脹,輝度変化を認め,受傷4日目に感覚障害も出現したために当院紹介となった.当院で外側区画内圧測定したところ109 mmHgと著明な上昇あり,疼痛のコントロールも含めて減張切開を行った.手術所見では長短腓骨腱筋が変色しており,4C徴候から筋壊死と判断し,コンパートメントデブリードマンを行った.術後は深腓骨神経領域に知覚鈍麻,運動障害を認めたが,サッカー部に復帰できた.非骨折性急性コンパートメント症候群は,しばしば診断が遅れ機能障害が残存する.徐々に増悪する下肢痛がある患者に対してはコンパートメント症候群を疑わなければならない.

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© 2018 西日本整形・災害外科学会
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