整形外科と災害外科
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胸腰移行部の脊髄圧迫病変によって生じた弛緩脊髄の2例
中村 憲明津田 圭一横田 和明山田 周太田上 敦士尾﨑 誠
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2020 年 69 巻 4 号 p. 821-824

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抄録

背景:腰部脊柱管狭窄症に伴うredundant nerve rootsの報告は多く,その機序も解明されつつあるが,脊髄圧迫病変に伴う弛緩脊髄の病態についての報告は少ない.胸腰椎移行部に生じた弛緩脊髄の2例を経験したので報告する.【症例1】42歳男性.右臀部痛と右下垂足が出現し近医を受診.硬膜内髄外腫瘍を認め当院受診.初診時の理学所見では大腿四頭筋と前脛骨筋に筋力低下を認め,MRIではTh12/L1高位で硬膜内髄外腫瘍による脊髄圧迫と弛緩脊髄を認めた.腫瘍摘出術後,弛緩脊髄は改善した.【症例2】67歳女性.両下肢しびれ,歩行障害が出現し当院受診.初診時の理学所見では両下肢の痙性麻痺を認め,CTではTh11/12高位に黄色靭帯骨化,MRIでは同高位で脊髄圧迫と弛緩脊髄を認めた.椎弓切除術を施行し弛緩脊髄は改善した.まとめ:弛緩脊髄は円錐部での圧迫病変に伴い生じ,その病態には歯状靭帯の解剖学的特徴や脊髄円錐部の形状が関与していると推測する.

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© 2020 西日本整形・災害外科学会
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