日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
今月のテーマ;膵炎の発症と修復機構
膵の線維化機構-膵星細胞をめぐって-
清水 京子
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2006 年 103 巻 8 号 p. 924-930

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抄録

膵星細胞は膵腺房周囲や血管周囲に存在する.静止期にはビタミンAを含む脂肪滴をもち,膵傷害により筋線維芽細胞様の活性化膵星細胞になり,酸化ストレス,炎症性サイトカイン,増殖因子,エタノール,アセトアルデヒド,アンギオテンシンIIなどによって細胞増殖,細胞外マトリックス産生,遊走能が亢進し,線維化が形成される.細胞内シグナル伝達にはMAPK系, Rho-ROCK系,PI3-kinase系,Smadの活性化,AP-1依存性転写活性などが関与する.活性化を抑制するものとして,細胞内シグナル伝達系の阻害剤,レチノール,PPARγ ligand,アンギオテンシンII阻害剤,抗酸化物質があり,これらは膵線維化の治療薬の候補である.

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© 2006 (一財) 日本消化器病学会
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