膵星細胞は膵腺房周囲や血管周囲に存在する.静止期にはビタミンAを含む脂肪滴をもち,膵傷害により筋線維芽細胞様の活性化膵星細胞になり,酸化ストレス,炎症性サイトカイン,増殖因子,エタノール,アセトアルデヒド,アンギオテンシンIIなどによって細胞増殖,細胞外マトリックス産生,遊走能が亢進し,線維化が形成される.細胞内シグナル伝達にはMAPK系, Rho-ROCK系,PI3-kinase系,Smadの活性化,AP-1依存性転写活性などが関与する.活性化を抑制するものとして,細胞内シグナル伝達系の阻害剤,レチノール,PPARγ ligand,アンギオテンシンII阻害剤,抗酸化物質があり,これらは膵線維化の治療薬の候補である.
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