潰瘍性大腸炎は病因不明の難治性疾患で再燃と寛解を繰り返す.一般に発症時に重症や全大腸に病変のある症例をのぞくと長期経過とともに病勢が安定する症例が多い.一方で,ステロイド治療に抵抗したり依存したりする難治例では,経過にともない手術を必要とする症例や炎症性発癌への注意が必要なケースが多いとされる.難治例や重症例では免疫調節療法や白血球除去療法などの治療を要することが多いが,これらの治療後の長期経過で手術の回避が可能かどうかは,まだ十分なデータがない.潰瘍性大腸炎にも応用が始まった生物学的製剤などにより粘膜治癒を得ることは長期予後改善に役立つ可能性が高いがなお検討が必要である.