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松谷 毅, 笹島 耕二, 丸山 弘, 鈴木 成治, 宮本 昌之, 横山 正, 柳 健, 松下 晃, 松田 明久, 田尻 孝
2009 年 106 巻 7 号 p.
1026-1030
発行日: 2009年
公開日: 2009/07/06
ジャーナル
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症例は86歳,男性.主訴は嚥下困難.進行食道癌(1型,Lt,中分化型扁平上皮癌,T2N0M0,stage II)と診断し,docetaxel/5-fluorouracil/nedaplatin併用化学放射線療法を施行.治療終了後,肉眼的ならびに組織学的に腫瘍は消失したためCRと判定した.有害事象はgrade 2白血球減少を認めた.治療終了から24カ月経過するが再燃·増悪,晩期有害事象は認めていない.
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古川 大輔, 堂脇 昌一, 和泉 秀樹, 岡本 祐一, 今泉 俊秀, 幕内 博康
2009 年 106 巻 7 号 p.
1031-1038
発行日: 2009年
公開日: 2009/07/06
ジャーナル
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今回われわれは突然の腹痛で発症し,腹部CT検査にて孤立性上腸間膜動脈解離と診断した2例を経験した.2例とも偽腔は血栓閉鎖しており,真腔は狭窄していたものの腸管虚血の所見を認めなかったため抗凝固療法,抗血小板療法にて保存的に治療した.大動脈解離をともなわない上腸間膜動脈解離は比較的少なく,本邦では自験例を含め53例の報告があるのみであり,若干の文献的考察を加え報告する.
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河野 聡, 重松 宏尚, 丸山 俊博, 野村 秀幸, 下田 慎治
2009 年 106 巻 7 号 p.
1039-1048
発行日: 2009年
公開日: 2009/07/06
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肝性脳症を契機に肝動静脈瘻を診断された60歳女性の症例を経験した.診断から2年の間に,肝性脳症だけでなく食後の腹痛と体重減少および胆管障害を併発し,今後肝不全へと進行することが予測される.肝動静脈瘻はシャント量の増加とともに多彩な臨床症状を呈する.そのうち高心拍出量性心不全と胆管障害は予後を左右する.しかし,症例の蓄積が少なく治療法は確立していない.肝動脈塞栓や結紮は胆管障害·胆道感染症を誘発する恐れがあり,根治には肝移植が必要と思われる.現在,脳死肝移植登録が承認され待機中である.
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打波 宇, 阿部 ゆき, 菊地 功, 吉岡 政人, 久米 真, 佐藤 勤, 山本 雄造
2009 年 106 巻 7 号 p.
1049-1055
発行日: 2009年
公開日: 2009/07/06
ジャーナル
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症例は52歳男性で肝細胞癌に対する外側区域切除術施行3カ月後に総肝動脈周囲と縦隔のリンパ節に転移が疑われた.各々が孤立性であったため外科的切除を行った.病理所見で肝細胞癌の転移と診断された.術後1年8カ月の現在,無再発生存中である.原発巣がコントロールされ,他臓器転移を認めなければ,転移性リンパ節が腹腔と縦隔に存在しても各々が孤立性である場合には摘除により良好な予後が得られる可能性が示唆された.
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中西 祐貴, 萱原 隆久, 山下 幸孝, 奥野 真理, 中村 文保, 谷口 洋平, 井上 夏子, 中谷 泰樹, 幡丸 景一, 清水 孝洋, ...
2009 年 106 巻 7 号 p.
1056-1062
発行日: 2009年
公開日: 2009/07/06
ジャーナル
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症例は75歳女性.4年前より肝右葉を占拠する長径16cmの巨大な嚢胞を指摘されていた.腹痛を主訴に当院を受診し,炎症反応高値,腹部CT上腹水,嚢胞の縮小,被膜の断裂を認めたため,嚢胞破裂による腹膜炎と診断した.腹水,嚢胞液から
Candida albicansが検出され,嚢胞内に経皮的ドレナージチューブを留置の上,抗真菌薬による治療を行ったところ,嚢胞腔は縮小し,全身状態·炎症反応も改善を認めた.
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畠山 巧生, 長川 達哉, 須賀 俊博, 宮川 宏之, 平山 敦, 松永 隆裕, 岡村 圭也, 鈴木 肇, 本間 重紀, 岡田 邦明, 岩口 ...
2009 年 106 巻 7 号 p.
1063-1069
発行日: 2009年
公開日: 2009/07/06
ジャーナル
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症例は70歳,男性.胆道気腫が入院契機となり精査の結果,胆嚢結腸瘻と萎縮胆嚢内の腫瘤性病変を認めた.さらに大腸内視鏡検査にて瘻孔開口部に隆起性病変を認め,生検から腺癌と診断した.胆嚢癌の結腸浸潤と診断し胆嚢摘出術,右半結腸切除術を施行した.病理結果では胆嚢癌が瘻孔内を片側性に粘膜内進展しており,進行胆嚢癌の結腸浸潤とは進展様式が異なった.胆嚢結腸瘻と胆嚢癌の関連を知る上で貴重な症例と考えられた.
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虻江 誠, 鈴木 雅貴, 小野寺 博義, 鈴木 眞一, 野口 哲也, 内海 潔, 野村 栄樹, 藤谷 恒明, 山並 秀章, 立野 紘雄
2009 年 106 巻 7 号 p.
1070-1077
発行日: 2009年
公開日: 2009/07/06
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症例は64歳,男性.2004年3月,左肩甲骨chondrosarcoma術後のCTにて膵管内乳頭粘液性腫瘍が指摘され,経過観察となっていた.2007年10月,膵体部に腫瘤像の出現を認め,通常型膵癌の術前診断で膵体尾部切除を施行した.病理組織学的に膵内分泌腫瘍と診断したが,鑑別診断には免疫染色が非常に有用であった.膵管内乳頭粘液性腫瘍に膵内分泌腫瘍を合併した病態は,頻度的には決してまれではない可能性があるが,実際の報告例は極めて少ない.
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石渡 裕俊, 林 毅, 吉田 真誠, 黒岩 巌志, 佐藤 康史, 小船 雅義, 瀧本 理修, 木村 康利, 長谷川 匡, 平田 公一, 加藤 ...
2009 年 106 巻 7 号 p.
1078-1085
発行日: 2009年
公開日: 2009/07/06
ジャーナル
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症例は58歳,女性.2005年6月健診USで膵頭部腫瘤を認め,当科紹介入院となった.腹部USで膵頭部に径30mm大の低エコー腫瘤を認め,内部に無エコー域をともなっていた.造影CTで同部は動脈相から造影されたが,一部は造影効果を全く認めなかった.画像所見からは充実性多血性腫瘤の嚢胞変性を疑う所見であり,無症候性膵内分泌腫瘍と術前診断し,膵頭十二指腸切除術を施行した.病理学的所見より膵Solitary fibrous tumorと最終診断した.
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