日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
今月のテーマ:腸内細菌と消化器疾患
腸内細菌と過敏性腸症候群
福土 審
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2015 年 112 巻 11 号 p. 1956-1965

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抄録

過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome;IBS)とは,腹痛・腹部不快感に代表される内臓知覚過敏と下痢,便秘,あるいは両者が混合した便通異常が持続する状態である.本稿においては,腸内細菌がどのようにIBSの発症,病態,診断,治療に関わるかを述べる.IBSにおける腸内細菌の役割は,感染性腸炎後の発症,感染性腸炎後IBSの遺伝子多型分析,ストレスによる細菌叢の変化,粘膜透過性亢進へと解明が進んでいる.また,IBSにおける腸内細菌異常増殖,腸内細菌の特徴とその産物の役割が検討されている.腸内細菌の役割は治療研究においても証明され,脳腸相関を介して生体を変化させる.IBSと腸内細菌の関係を証明する報告は増加しており,それがIBS診療に大いに役立つことが期待される.

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© 2015 (一財) 日本消化器病学会
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